Mojo Silly Talk Vol.81


22003.12.3.
■サッカー■
トヨタカップをTV観戦。レアルマドリードはなんちゅうかかんちゅうか、あれだけのメンツが揃ってて観てて楽しいのはもちろんなんだが、一抹の不安が消えない。解説のさんまが面白いことを言っていて「バラエティ番組でも大物が5人も揃うと誰かまかせになって何か変な"間"ができる時間帯がある」とのこと。なるほど、と思った。
そんでもってこのチーム、ボランチが一番大変。豪華絢爛な攻撃陣は守備はほとんどやらない上、左サイドのロベカルはじゃんじゃか上がるので繋ぎと守りとバランスを保つので大忙しなのだ。ボランチのマケレレとカンビアッソの台頭ってチーム事情のせいだったのね。ちゃんちゃん。
しっかし相手のオリンピアも相当強いはずなんだが、妙に下手っちく見えてしまう程にレアルの選手はトラップもパスもシュートも凄かった。

■映画■
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(2002/原恵一監督作品)★★★★★
映画秘宝、キネマ旬報などでの大絶賛を経て今や「え?観てないの?」的な程に有名になった前作『オトナ帝国の逆襲』の次作も傑作だった。単なるタイプスリップものではなく、正攻法の描写と緻密な設定で唸らされるハイクオリティな"時代劇"。そんでもって身分の違う武士とお姫様のオトナの恋愛があり、しかもしんのすけは最後に5歳児には辛すぎる悲劇を体験してしまう。これにはまた泣かされてしまった。このクオリティが保てるうちは、クレヨンしんちゃん劇場版のファンが増える現象はまだまだ続きそうである。

『濡れた欲情 ひらけチューリップ!』(1975/神代辰巳監督作品)★★★★ 
ひーらけひらけーぱっとひらけー♪間寛平のヒット曲をモチーにした作品。朝焼けとジャズと大阪城で始まるオープニングが秀逸。
パチプロ(モテ男)と釘師(25歳・童貞)を中心に繰り広げられるドタバタ人情劇。大阪を舞台にした神代作品は外れなしか?そして大阪と言えばヒロインは芹明香。これまた素晴らしかった。

『アフリカの光』(1975/神代辰巳監督作品)★★★
ショーケン、田中邦衛、藤竜也、桃井かおり、高橋洋子・・・とキャストも豪華で普通に"良作"と呼べる作品だし随所に"味"は出てるのだが、同じ年のロマンポルノ作品に比べると何処か物足りない。ショーケンがマストの上でオカマのカモメになってるところはまさに神代節で最高。

『ウェディング・シンガー』(1998/フランク・コラチ監督作品) ★★☆
映画秘宝のスティーヴ・ブシェミ特集で「げ!見逃してる!」と焦って鑑賞。映画自体はまあ、何てことないラブコメディだったが。お目当てのブシェミは、冒頭で弟の結婚式を猥褻なスピーチでぶちこわす酔っぱらい。そしてラストで何故かバックバンドを従えてギター抱えて祝福の歌を熱唱し、数秒後には消えた。嗚呼、ブシェミ!期待を裏切らない美味しいとこどりだ。関係ないけどドリュー・バリモアってごついけど可愛いなあ。何でだ。(←独り言)

 



Mojo Silly Talk Vol.80


2002.11.30.
■サッカー■
ヴィッセル神戸にレンタル移籍中の元日本代表の城彰二。所有権を持つ横浜マリノスが戦力外通告。カズさんと岡野、ついでに平野と望月も合わせてJ2落ちサバイバルに突入している。
その他戦力外通告を受けた井原、福田(共に浦和)、山口(素)(名古屋)、北沢(東京ヴェルディ)、怪我しなくなったと思ったらチームがJ2に落ちた悲運の天才FW小倉(札幌)と、ドーハ組、アトランタ組が世代交代の波に飲み込まれる時が来ている。合掌。
そんな中全く衰えるどころか年々スキルアップを遂げた中山(磐田)は別として、ここに来て意外な転機を迎えた男がいる。元日本代表にして現負け犬日本代表・前園真聖だ。かつてのスターもヴェルディを解雇され、伝説のカップラーメン"ラ王"も最近見ないなーと思ってたら、突然お隣の国、韓国リーグ移籍が決定した。詳細は上のリンクから。
ホストみたいな写真の姿も心配だが、異様に待遇が良いの
には驚く。一番甘やかしてはならない人物だと思うのだが・・・。
どうでもいいけど、昔「いじめ、カッコ悪いよ」って言ってたCMを偶然録画してた人、連絡待ってます!!!

■映画■
ビデオにて『快楽学園・禁じられた遊び』(1980・神代辰巳監督作品)鑑賞。
職員室と理科室でドタバタ劇が繰り広げられる前半こそ傑作だが、後半はもうスラップスティックの度が越えて見事に破綻。愛すべき失敗作とでもいうべき小品。
(★★★☆)

 



Mojo Silly Talk Vol.79


2002.11.29  女の子限定ロマンポルノオールナイト&年末DVDリリースラッシュ

●渋谷シネクイントで敢行された女の子限定ロマンポルノオールナイトが無事終了。実に有料入場者220人(!)、冒頭の『女地獄 森は濡れた』でまさかの爆笑モード。一気に心わしづかみ。
続くヘビーなはずの『母娘監禁・牝』も随所に笑いが起こる珍現象。ずしーっと重いテーマからユーミンの「ひこうき雲」が気持ちを持ち上げて中原昌也さん、山田広野さん、駕篭真太郎さんによるゲストトークへ。
こちらもまた関係者じゃない分聞き手も入りやすいお話に終始。楽しんでくれた様子だった。

そしてゲスト3人が強くオススメして期待が膨らんだところで休憩無しで神代辰巳のトンデモ傑作『悶絶!!どんでん返し』スタート。この日一番、最初から最後まで大爆笑で幕。
流石に4本目『タイムアバンチュール絶頂5秒前』では眠ってしまったお客さんが多数なものの、アンケートを見る限りみんな大満足にて終了した模様。

とにかく来てくれた人に感謝。関係者の皆様、おつかれさんでやんした。今回は実に良い感触だったのではないでしょうか。。。云々。

●今年1番の興奮と感動を与えてくれた『少林サッカー』ついにDVD化!ついついTシャツ付の箱を買ってしまった。
ついでにマリオ・バーヴァ『モデル連続殺人!』も(阿呆)。
年末は流石にDVD発売ラッシュ。ヨーダ師匠暴れまくりの『スターウォーズEPISODE2』から新東宝のホラーみたいなロシア産カルトSF『妖婆・死棺の呪い』そして神代辰巳×荒井晴彦+内田ロケンロー裕也の傑作『嗚呼!おんなたち猥歌』と買わにゃあかん作品が目白押し。
銭が足りんのだよ、銭が!(合掌)

 




2002.11.17 『(秘)・色情めす市場』『歓びの喘ぎ 処女を襲う (死に急ぐ海)』

映画「血を吸う宇宙』DVD発売記念イベント「血を吸うヤケ クソ祭り」、盛況のうちに無事終了。司会の人、ロフトプラス ワンの人、出演者のみなさんお世話になりっぱなし。
いよいよ 来週は女の子限定ロマンポルノオールナイトである。果たして どうなることやら・・・。以下、乱筆映画感想文。南無三。

『(秘)・色情めす市場』(1976・田中登監督作品)★★★★★
1973年の大傑作『(秘)・女郎責め地獄』のラストは主演の中川 梨絵が演じる”死神お仙”が大阪へ行ったかもしれない、とい うくだりだったが、その続きとも言えるのが大阪は新世界、通 天閣周辺を舞台にした本作。母娘共々娼婦で、白痴の弟がいて 、客を寝取り寝取られ、一方で勘違いから破滅してゆく夫婦( しかも爆死!)と、どろどろの人間模様を新世界周辺のドヤ街 を舞台に描いた大傑作だ。しかもモノクロで進み、濡れ場以外でおもむろにパートカラーになるという荒技を若松プロではな く日活の撮影所で敢行した田中登という監督はすごい!無感情で吐き捨てるような台詞でたくましく生きる主演の芹明香、娘に客を取られる見苦しいまでの母親はトラウマチックな存在感 。出口のない地獄のような低辺の世界。そこで当たり前のよう に生きるワンピース姿の芹明香が眩しい。圧倒的な90分、必見の怪作である。


『歓びの喘ぎ 処女を襲う(死に急ぐ海)』(1980・高橋伴明 監督作品)★★★☆

海が公害汚染された漁村で老いた父と暮らす白痴の妹がある日 村の青年に犯されてしまい、セックスの歓びを覚えてしまう。 以後、男を見るなり身体を欲しがるようになってしまい、毎日まぐわううちに父は衰弱してしまう。そこへ都会で暮らしていた兄(下元史朗、劇中ニコリとも笑わない)が帰って来るが・ ・・という、信じがたい程ヘビーな、、まるでジョージ秋山や 『光る風』の頃の山上たつひこあたりが作りそうなスキャンダ ラスな内容。とかく頭の弱い妹とのセックスシーンは胸がえぐられるような思いだし、ひたすら汚染された海の魚を食う食事のシーンもずっしりと胸に迫る。もの凄い映画なのだが、その 重さはレイトショーもあったか、いささかしんどかった。しかし、これこそ高橋伴明の真骨頂なのであらふ。主演の下元史朗 の眼差しが、台詞の1つ1つが、鋭くメッセージ性の強いものになっている。この時期の別作品も観てみたいぞ。

その他レビュー待ち作品
『白い指の戯れ』(1972・村川透監督作品)★★★★
『濡れた唇 しなやかに熱く』(1978・中村幻児監督作品)★ ★★★
『神田川淫乱戦争』(1981・黒沢清監督作品)★★★★★
『呪怨2』(2000・清水崇監督作品)★★★☆

 




2002.11.7 映画地獄へまっしぐら!『ロード・トゥ・パーディション』『ごめん』他8本(!)

あーもう感想書く暇ナッシング。取りあえず星取表と簡単な感想を書き殴ってみるかいな。クストリッツァの『SUPER8』は映画中のビデオクリップが出色の出来だった以外は退屈。メンバー個々のドキュメントやるにしては人数多すぎるんじゃ!(笑)『トリプルX』はアメリカ〜ンで筋肉バカのヴィン・ディーゼルが今までにないシークレットエージェントを演じて、超1級の娯楽作品としては上出来過ぎるくらい。まるで漫画(「ワイルド7」って説もある)な、あり得ないピンチの乗り切り方も彼なら説得力あり。チラシなどでは全然露出していないが、何つってもヒロインのアーシア・アルジェント(ダリオ・アルジェントの娘!)が素晴らしい。目の下のクマ(いろいろ想像してしまうなあ)が尋常じゃないが、攻撃的な顔立ちながら女らしさや弱さも見せるクールビューティーになりきれない役はハマり過ぎ。萌えます(阿呆)。鬼警部サミュエル・L・ジャクソンは何だか楽しそうで笑えるなあ。『ロード・トゥ・パーディション』は日本の名作漫画「子連れ狼」をパクったアメコミ(?)が基盤になっているが、演出や設定がストイックで渋〜いのなんの。トム・ハンクスが子連れ狼やるようになるとはねえ。78歳となったポール・ニューマンが流石の貫禄で暗黒街の老ボスを演じる。せつなさライセンス1級。久々に男泣きの名作が登場だ。続く冨樫森監督の『ごめん』は思わぬ面白さ。"ナニワの小さな恋のメロディ"的な映画なのだが、妙におっさんぽい主人公の男の子を始めキャラクターがそれぞれ面白いのはもちろん、関西ならではの会話のノリ、テンポが存分に発揮された快作。たまにはこういう爽やかなの観てリハビリしないとだな・・・(以下略)。アップリンクファクトリーでの瀬々敬久特集上映で関東大震災を複線に繰り広げられるエンターテインメント作品『未亡人 初七日の悶え』、秩父困民党が現代を駆け抜ける『未亡人 喪服の悶え』を鑑賞。共に野心的傑作。いずれも佐野和宏の演じる好色エロ坊主が最高で、普段だらしないが、やるときゃやる。アルトマンの「ロング・グッドバイ」のエリオット・グールドを彷彿とさせる。その他ビデオではロマンポルノを観まくった。中でも神代辰巳『濡れた欲情 特出し21人』がヤバ過ぎ。複数のエピソードが羅列されるが、さっぱりわけのわからないという物語の絶妙な破綻、主人公もいなきゃ登場人物も奇妙かつ全員自分勝手(笑)。気の抜けた「恨み節」が耳に残るゴダールも真っ青な怪作だ!

◆新作
『SUPER 8』(2001/エミール・クストリッツァ監督作品)★
『トリプルX』(2002/ロブ・コーエン監督作品)★★★
『ロード・トゥ・パーディション』(2002/サム・メンデス監督作品)★★★★
『ごめん』(2002/冨樫森監督作品)★★★★☆

◆旧作
『未亡人 初七日の悶え(坊さんが屁こいた)』(1993/瀬々敬久監督作品)★★★★
『未亡人 喪服の悶え(現代群盗伝)』(1993/瀬々敬久監督作品)★★★☆
『濡れた欲情 特出し21人』(1974/神代辰巳監督作品)★★★★★
『暴行切り裂きジャック』(1976/長谷部安春監督作品)★★☆
『エロスは甘き香り』(1973/藤田敏八監督作品)★★☆
『ドグマ』(2001/ケビン・スミス監督作品)★★★☆

 




2002.10.28 ゾノ&ダバディ、久々のサッカーネタ2連発+映画レビュウ


かのサッカー日本代表、トルシエ・ジャパンの超訳、じゃなくて通訳にして誰よりも目立っていた男、フローラン・ダバディの新刊本『黄金伝説』が出た。村上龍などとの対談を収録。これの表紙が凄すぎる(写真をご参照あれ)。セルフプロデュースの撮り下ろしで、裸にジャケット、葉巻までくわえた完全確信犯。サッカーファンだけじゃなく、興味のない女性も振り向かせたかっただとおおおお?いよいよ本領発揮なのか?!ちなみにこれまたヤバすぎるダバディ氏のファンサイトはこちら
そういや、サッカーネタでもう1つ。ヴェルディを解雇されたサッカー負け犬ニッポン代表、前園真聖が海を渡ったのだ!しかも何故かKリーグ!韓国である!な、何を企む、ゾノ!き、帰化?帰化すんの?!その前に「さよならニッポン」というタイトルでエッセイ書いてくれい!よろしく哀愁!

以下、映画評。

『もっとしたたかに もっとしなやかに』(1976/藤田敏八監督作品)★★★☆
藤田敏八ならではの、ニューシネマ調青春映画テイストのロマンポルノ。男は情けなくて、女はしたたか。シラけムードすら漂う平凡な日常。日常の中に起こる事件も生死も全てが"何となく"である。時代性がくっきり出る映画(まさにニューシネマ的)ゆえ、リアルタイムの世代以降には伝わらないハンディがあったが、時代が一巡りして、今の20代にはこの無気力な空間、しっくり来るんではなかろうか。

『悶絶!どんでん返し』★★★★★ (1977/神代辰巳監督作品)
11/23の渋谷シネクイントでの女の子限定オールナイトで、ゲストの駕篭真太郎(漫画家)、中原昌也(作家/ミュージシャン)両氏の推薦もあって上映されることになった、神代辰巳の傑作。主演かと思っていた谷ナオミはほったらかしで、ひょんなことから2回もオカマのチンピラに強姦された挙げ句立派な(?)オカマになる東大卒のエリートを中心に、社会の底辺でたくましく生きる面々の賑やかで猥雑な群像劇とが平行して描かれてゆく。神代映画ならではのニンゲンくさい歌謡曲などをバックに、物語がどんどんと観る側の裏をかいてころころとあらぬ方向へ転がっていくのはお見事。良い時のコーエン兄弟でもここまではできまい。一見ベタに見えるタイトルも、見終わればなるほど、言い得て妙でいと可笑し。

 





2002.10.20. 傑作『人魚伝説』&トホホ映画2本

散財の秋。最近レコードとか漫画とかは買ってないけれど、アホみたいに映画観まくってます。下半期の新作は今のところ『ズーランダー』を越える映画が出て来ていません。ぶっちぎりです。年上の方からオススメ頂く旧作邦画はクオリティ高し。10/27から始まる瀬々監督ピンク作品の上映にも期待!

『人魚伝説』★★★★(1983/池田敏春監督作品)
「天使のはらわた赤い淫画」など観る側が変に力が入ってしまう力強い演出で有名な池田敏春監督による血塗れ海女さん版ワイルドバンチ。しかも皆殺し。原子力発電所を巡る陰謀のために夫が殺されてしまう。未亡人となったヒロインは、魔の手を血塗れでかいくぐり、逆に黒幕達に復讐開始。最後は発電所完成披露パーティーに銛1つで乗り込むのであ〜る!ホラー顔負けの血塗れ描写で俄然力が入る傑作。ラストも切ないっす。

『WASABI』☆(2001/リュック・ベッソン監督作品)
リュック・ベッソンってまあ元々田舎者的センスはあったにせよ、どんどんヤケクソ祭りモードに入ってるよねえ。このWASABIは最高潮にヤケクソ、投げやり。広末涼子が記者会見で号泣していたのも頷ける出来だ。襲って来る刺客がみんなヌンチャク持ってたり、取ってつけたような料亭みたいな琴によるバックミュージック、舞台となるのは典型ニッポン都市、京都と秋葉原。外国人の日本の認識でおかしなシーンが出てくるのはR.アルトマンの傑作『M☆A☆S☆H』でもあったが、1シーンではなくそれの乱れ打ち+あまりに幼稚過ぎる演出+じゃじゃ馬役の広末涼子の演技下手で、寒さ大爆発。はっきりいって東京でゲーセンでステップ踏んで、京都で絵馬をがしゃがしゃ、唐突にワサビをもぐもぐ食って「イケる。これ何て名前だ?」というわけでお土産にワサビ貰って帰って行くジャン・レノ。つーわけで、この映画の趣旨って「レオン」じゃなくて、「ジャン・レノのおかしなおかしなニッポン観光」だったのであった。合掌。

『サイン』★(2001/ナイト・シャマラン監督作品)
マスコミ向けの試写を1回も行わず、予算の8割がメル・ギブソンとミステリーサークル設置に消え、残り僅かなATG級の予算(本当か?)で製作されてしまった別の意味でのトンデモ映画。ブラジルで目撃された宇宙人情報がTVで中継されるシーンなど、ダウンタウンのコントかと思うほど。そんなショボい映像観て絶望しているメル・ギブソンと弟さんと子供達観てると「しっかししろ!」と違う意味で手に汗握ってしまうのだ。予算の都合であろう、宇宙人襲来もこっそり。大体人間襲って来る宇宙人が、"●"が苦手でどうする!そして観る側が「さて?」と構えたところで終了。失笑とため息に満ちた客席と、首をかしげるお客さんに宗教の勧誘みたいなサイン完全解析みたいなチラシを配られるが、これってフォローですか。フォロー。配給会社も必死よねん。合掌。

以後、鑑賞済。レビューはまた次回。
『もっとしたたかに もっとしなやかに』★★★☆(1976/藤田敏八監督作品)
『悶絶!どんでん返し』★★★★★ (1977/神代辰巳監督作品)
『SUPER 8』★★☆(2001/エミール・クストリッツァ監督作品)

 




 

2002.10.11. 秋のイベント3連発!東京ファンタ、血を吸うヤケクソ祭り、女の子限定オールナイトのお知らせ。

10/31(木)23:00〜東京ファンタスティック映画祭〜映画秘宝祭り開催!アップリンク・一夜限りのカルトDVDショップ出店します。上映中は店たたんで映画観るぞー!(←それが目的か?)ちなみに上映作品はケヴィン・スミスの最新作にブラックムービーの金字塔、フォクシー・ブラウン!!!場所は渋谷パンテオン。野郎ども、待ってるぜい。

11/13(水)19:00〜『血を吸う宇宙』DVD化記念イベント〜アップリンク&ダブルダイナマイツpresents "血を吸うヤケクソ祭り"開催!場所は新宿ロフトプラスワン。ゲストは中村愛美、三輪ひとみ、柳下毅一郎、中原昌也、吉行由実、その他映画秘宝の方々で送るディープかつマニアックな夜。是非是非ご来場あれ〜!

11/23(水)23:30〜ニッポンエロティックスpresents ロマンポルノの女の子限定オールナイト上映やります!上映されるのは、DVDで発売される『母娘監禁 牝』(1987/斉藤水丸監督作品)『女地獄 森は濡れた』(1973/神代辰巳監督作品)に加え、神代辰巳の傑作『悶絶!どんでん返し』(1977)、滝田洋二郎と高木功の黄金コンビによるSFコメディ『タイムアバンチュール 絶頂5秒前』(1986)。ゲストは漫画家の駕篭真太郎、三島由紀夫賞作家兼ライター・中原昌也、ネオ活弁映画監督・山田広野。女性の方、ご来場お待ちしてま〜す!どうしても観たい男性陣は女装して来〜い!場所は渋谷シネクイント。パルコPART3・8F。

ってなわけで大忙しの秋本番!負け犬に合いの手を!以下、映画感想!熟読不可!信用不可?!うがー!

『ドニー・ダーコ』(2001/リチャード・ケリー監督作品)★★★★
銀色兎と飛行機のエンジン。世界の終わりまであと42日・・・ドリュー・バリモア総指揮による「メメント」系リバースムービー『ドニー・ダーコ』。その複雑な構成に目が行きがちだが、結構青春映画としても上出来ってのがミソ。どんでん返し後に明らかになる事実はせつなさライセンス1級品。しかしメメントもそうだったが、この手の映画は一瞬たりとも集中力を欠かせないので、疲れるのよね。ふはー。

『天使のはらわた 赤い淫画』(1981/池田敏春監督作品)★★★★☆
炬燵の赤い光の中で行われるオナニーシーンの迫力ある演出、土砂降りの雨を下から捉えたショット・・・天使のはらわた史上最高の激しい情念とエロスを圧倒的な絵の力で見せつけた傑作。1シーンごとの迫力と胸をかきむしられるような激しさを放ち、バイオレンスシーンも容赦なく、後の佐藤寿保映画に通じる強烈さを誇る。そして何といってもヒロインの泉じゅん。激しい物語に負けない凄まじい演技は、観る者の脳裏に焼き付いて離れない。中でもラスト付近、炬燵の足を逆レイプするかのような激しいオナニーシーンはトラウマになるぞ。男筋をビリビリ刺激、且つ手に汗握る迫力を持った希有な1本である。必見。

 



 

2002.10.7.『天国の口、終わりの楽園』

・・・ったくもーほんとに我が儘で短気でちょっとオバタリアン入ってる中年のおやじ(しかもデブ)ってのも困りもんだ。八つ当たりってのは一番気分悪いんだよタコ。なーんて思った夜(謎)。杉千代と合流して六本木なんて似合わない町をぶーらぶら。飲み屋で数年ぶりにふっと聞いたキュアー(爆)の『ジャスト・ライク・ア・ヘブン』。洋楽のヨの字も知らないヨヨヨーって感じの中学生だった俺がたまたま旅行の時に聞いてたこの曲。これ聞いて村上龍の『コインロッカー・ベイビーズ』読んでた記憶がばーっと蘇った。ついでに担任にダチュラ!とか言ってたりして恥ずかしい中学時代。あー懐かしい、イイダ先生。中本工事似の国語教師。トランポリン(←関係ない)。

『天国の口、終わりの楽園』(2001/アルフォンソ・キュアロン監督・脚本作品)★★★
とかく悶々としたダメ少年2人と美人のお姉さんのロードムービーの秀作。ほんとね、エロへの渇望と悶々と嫉妬、馬鹿なことに夢中になれてしまう年頃が男には必ずあるのだ。メキシコで大ヒットした本作はなかなか切ないというか切実な少年の心がぎらぎら焼け付く太陽と海と共に赤裸々に描かれておりなかなか痛い。それと、いちいち音を止めて脇役のその後までナレーションが入るっていう試みも面白いね。つーかこの映画、メキシコ人の気質なのか何なのか、節操無くエロい。あんなにデカいぼかしって初めて観たぞ。おい。

 



 

2002.9.30.『ズーランダー』『バイオハザード』『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』

秋の夜長に虫の音を聞きながらぼーっと・・・ともいかず、これから襲いかかってくる(ていうか自分で種蒔いた)4つのイベントで頭がビッグバン。ぱぱんがぱん。ぱぱんがぱん!ぱぱんがぱんっ!きゃー!どっひゃー!と壊れたフリしてもだあれも助けちゃくれねーっつーの。はは。また同期の人間と後輩が退社で何だか取り残され感もありつつ、不思議とまだ何か居てみようって思っていたりして。同時期に入った4人も今や俺1人。それでもいろいろな人に支えられ、世のためマニアのため奔走する日々は続く。

『バイオハザード』(2001/ポール・アンダーソン監督作品)★★★★
『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』(2001/ウェス・アンダーソン監督作品)★★★☆
『ズーランダー』(2001/ベン・スティラー監督・主演作品)★★★★★

『バイオハザード』はゲームとはまた毛色の違う"アクションホラー"といった感じの快作。そして男として特筆すべき点が1つ。ラスト付近で寝台からうおおおおおっとすごい形相で起きあがるヒロイン、ミラ・ジョボビッチの局部ヘアーがはっきりと見えるのである。一時停止だー!と劇場で慌ててリモコン探したアホな野郎多数(んなわけぁないけど)。ミラジョボ、やはり現恋人である監督ポール・アンダーソンの前だからOKだったんでしょうか。それと『ガールファイト』のミシェル・ロドリゲスが脇役なんだけど、これがもうむやみやたらな殺気でゾンビより怖い。あ、いや結局ゾンビなんだけどね。はは。あ、やべ、ネタバレだ。げほげほ・・・というわけで?よーやった、ジョボビッチ!

 続いて大ヒット中の『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』。ウェス・アンダーソン監督、2作目で早くも大ブレイクしちゃったわけだけど、前作『天才マックスの世界』をさらにきめ細かにしたような偏屈群像劇。赤ジャージのベン・スティラー親子を始め全員キャラ立ちしてるんだが、逆にまあそれで全員同等過ぎて話が順序良く平坦な印象ってのはちと残念。曲の使い方も前回同様選曲がすごいが、いささか頼り過ぎな部分も。これでもかこれでもかとストーンズやらニコやらがフルコーラスでばんばん流れるのだ。それでもまあ、随所に笑いもあるし、見終わった後のほろ苦加減はなかなか味わい深い。ウェス・アンダーソンという監督のセンスに疑いの余地はないのだ。久々の当たり役を得たジーン・ハックマンも良かった。これでもうちょっとメリハリがあったら完璧なんだがなあ。

 そしてそして『ロイヤル〜』でも共演したベン・スティラー&オーウェンウィルソン出演の『ズーランダー』。これが涙出るほど笑ったね。もーくっだらねーと思いつつ結構引き込まれたりして。ベン・スティラー演じるスーパーモデル、デレク・ズーランダーは"ブルースティール!"などの決め顔で世界最高のモデルとして君臨している。ところがライバル・ハンセル(オーウェン・ウィルソン)  にトップモデルの座を奪われ、その上マレーシアの大統領暗殺の陰謀に巻き込まれてしまい・・・って一見むちゃくちゃなストーリーが結構しっかりしてる上に最後にちゃんと、どかーんと笑えるカタルシスがやってくる。『少林サッカー』の最後でチャウ・シンチーがぶっ放したロングシュートに近い快感を、ベン・スティラーは実に顔1つでやってくれた。
そして何つってもこの映画の見所は豪華カメオ出演組。クリスチャン・スレーター(な、なつかしい)、ナタリー・ポートマン、ウィノナライダー(『リアリティ・バイツ』つながり)、ベッカムの奥さんなどが続々登場し、ズーランダーを褒めまくる。そしてななな何とズーランダーとハンセルの壮絶(ていうかアホ極まりない)なウォーキング対決でおもむろに審判役をかって出るのがデビッド・ボウイだってんだからさあ大変。それとまたまたミラ・ジョボビッチがラスメイヤーの映画みたいな強烈メイクの悪女役で登場!またしても偉いぞジョボビッチ!ビバ!ジョボビッチ!その他爆笑エピソードと変な間がてんこ盛りの痛快な91分。個人的にはオースティン・パワーズより断然魅力的!これが銀座シネパトスでひっそり公開して3週で終わってパンフもないって有様だから日本の配給会社はどーかしとる。何とか機会見つけて劇場へ行くのだ!そして世界一の決め顔を獲得せよ!さあご一緒に・・・マグナム
!!!

 



 

2002.9.14 『初期のいましろたかし』&『狂った果実』

『初期のいましろたかし〜ハーツ&マインズ+ザ★ライトスタッフ+その他』(小学館)
いましろたかし、とうい漫画家を知っている人は何人いるだろうか。例えば今岡信治がピンク映画でリメイクした怪作『デメキング』という未完の作品。ある日突然観てしまった未来。怪獣デメキングに破壊される町。そのデメキングと戦うため具体的な方法もないまま日々は過ぎてゆき・・・あるいは珍妙な短編集『トコトコ節』収録の『ああサマータイム』。海辺でウンコしてたら一緒に出たオナラで空へ飛んでしまい落ちて来て下にいた人と頭から激突して脳味噌出してしまい・・・不器用で情けなくて本当に無様で嘘のないダメ男達を懐の大きいアイディアで動かす独特の世界。上記の作品が次々と復刻され、入手困難だった初期の作品集(ハーツ&マインズ、ザ★ライトスタッフetc.)が漫画化される、こんな時が来るとは思わなかった。初期のいましろ作品の主人公は歯を食いしばって毎日を不器用に生き、何かでっかいことやりたい、でもどうしていいかわからないと悶々と四畳半で一人暮らし。松本零士の名作『男おいどん』をさらにディープにしたような作品で、どこまでも情けなくモテない男達が"魂"を燃やす傑作揃いだ。ちなみにこの本の復刻に、松本大洋、土田世紀、江口寿史、新井英樹、西原理恵子ら有名な漫画家や著名人たちが祝辞を寄せている、まさにレトロスペクティブと再評価が一気に押し寄せた今年。男ならまずは『デメキング』、そして品切れ続出(嘘じゃないよ)の本作『初期のいましろたかし』は必読!!!

『狂った果実』(1981・根岸吉太郎監督作品)★★★★★★
中平康&石原裕次郎のコンビで作られた同名映画のリメイクで、監督はATGの名作『遠雷』の根岸吉太郎。え?勢いあまって★1つオーバーしてるって?それもそのはず、久々に映画の持つ"力"に圧倒された85分。映画を観て主人公に心をぐぐぐぐーっと引っ張られたのは久しぶりだ。昼はガソリンスタンド、夜は暴力バーで働く主人公(本間優二←「十九歳の地図」が印象的)が階級の違うお嬢様との恋愛に振り回されて悲劇と破滅を呼び起こしてしまう。ラスト付近のバイオレンスシーンは"無力ゆえに引き起こされた惨劇"で、ナイフを手に震える主人公を観て「刺せ!やっちまえ!」と共鳴してしまった。アリスの「狂った果実」がコテコテにクサい曲なのに、寒くない。ストーリーと映像がそれを凌駕しているのだ。ヒロインを演じた蜷川有紀さんの無表情も胸に痛かった。ねじ曲がった愛情が男を傷つけ、クールビューティーながら垣間見える"とまどい"の表情が印象に残る。根岸監督は主人公が一人暮らしで自炊して飯を食うシーン、など普通はしょりがちな日常の生活を丹念に描き、色気はないが、リアルで素晴らしい独特の演出を見せている。ラストシーン、ジョギングをストップさせられる姿=青春時代が容赦ない力に止められてしまう姿、という演出も見事。暴力バーの店主(益富信孝)の迫力(ていうか顔がすごい)及びちょっと頭の弱い奥さん(永島暎子)のコンビも強烈。ロマンポルノ史上に残る傑作、そして80年代青春映画の隠れざる金字塔、発見である。

 



 

2002.9.8 『天才マックスの世界』『ピンポン』『天使のはらわた 赤い教室』

秋だねえ。秋。先月どどーんと復刻されたいましろたかしの漫画読んでます。熱い、熱いぞお。次回レビュー書きます。お楽しみに!
以下、映画感想の嵐。例によって勢いだけの雑文。合掌。

『天才マックスの世界』(1998/ウェス・アンダーソン監督作品)★★★★★
 『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』が大ヒット中のウェス・アンダーソン監督のデビュー作。これが最高に粋!名門校で惚れた未亡人先生のためにあの手この手でアタックする天才少年マックス。小ずるい作戦から大胆な復讐まで繰り出す憎めないキャラは笑えて泣けて、オタク心をくすぐって感情移入エブリタイムOK!最後はまさかのフェイセズ"OHH LA LA"できれーいにFIN。傑作である。単なるおちゃらけ学園モノとは一線を画す見応えである。音楽のセンスから映画中のこまごましたネタから、何からオタクセンス抜群。そんな名作が日本ではビデオスルーだってんだから勿体ない。オマケにサブタイトルに「恋愛バトルで学園天国」って付いちゃってもう扱い酷くてずっこけるね。何はともあれ本作を観る限り『ザ・ロイヤルテネンバウムズ』は期待大!!!

『ピンポン』(2002/曽利文彦監督作品)★★ 
松本大洋原作、主演窪塚洋介にARATA、音楽今時のスーパーカー他オシャレ系、ってなわけでヤングに大ヒット上映中の本作。はっきりいって「んー、まあね」という答え方しかできないし、人には特に勧めない映画である。原作を読み返すことはあっても、映画をもう一度観ることはあるまい。そんな感じ。『少林サッカー』や『濡れて打つ』程のテッテ的な漫画的演出へとも振り切れず、キャラクターと出演者頼りの"トレンディドラマ"の延長線、映画っちゅうより"ファッション"てな感じなのがちといけすかん。手に汗握る展開、見終わった後の痛快な気分というのには程遠いのだ。監督さんてばCGは使えるけど真面目で堅実過ぎる印象。ストーリーもキャラクターもかなり忠実だけど、なーんか突き抜けない。そんでもって窪塚版ペコはやっぱり限界が。冒頭のアイキャンフラーイ!って台詞を始め、数シーンでの台詞回しに悪寒を感じた。しかしまあ徐々に麻痺したのか、最後の方には気にはならなかったが。売れっ子脚本・宮藤宮九郎の手柄は原作になかったキャラクター、大人計画の荒川ヨシヨシをうまく使ったことくらいか。一番受けてたな。それでもまあ観るに耐えるのは原作が面白いからに尽きるやね。ってなわけで松本大洋、漫画描けー!ビリビリさせろー!

『天使のはらわた 赤い教室』(1978/曽根中生監督作品)★★★★
 
石井隆原作の人気シリーズ第2作。白眉なのが主人公・名美(水原ゆう紀)と男(蟹江敬三)が連れ込み宿での会話中に陽が落ち、次第に夕暮れになり、夜のネオンの明かりになる、そのシーンのなんたる美しさ!驚愕のラスト付近の乱交シーンまで、男と女のすれ違いから和解されない悲劇までどこまでも繊細なタッチに描いた名作だ。

 



 

22002.8.25 『ケンタッキー・フライド・ムービー』『裏切りの季節』『モダン夫婦生活読本』

いささか蝉たちの声も疲れ気味。夏も終わりじゃー。久々に映画感想文。勢いで書いたので熟読はダメだぞ!

『ケンタッキー・フライド・ムービー』(1976/ジョン・ランディス監督作品)★★★ 
くだらなさ満点、パロディ映画の原点的アホ映画。監督は「サボテン・ブラザーズ」「狼男アメリカン」のジョン・ランディス。いい年したオトナが作ったとは思えないブルースリーやCMのパロディは暴走し過ぎてたりどっちらけで収拾つかずだったりで、笑えず置いていかれることもしばしば。それにしてもこの悪ノリ最高峰の脚本を手がけた3人の人物はその後「裸の銃を持つ男」や「ホットショット」を手がけることになるってんだからもうほんとしょーもない人たちだよね。映画中、黒人集団の中に入っていって「●ガー!」と叫ぶ勇敢な(ていうか最低な)男のネタには爆笑してしまった。ちなみに字幕監修はみうらじゅんだったしして。配給元アルバトロスのHPはこちら・・・

『裏切りの季節』(1966/大和屋竺監督作品)★★★★☆ 
いよいよ『荒野のダッチワイフ』のDVDも発売された大和屋竺の監督デビュー作。この映画の前、ボルネオあたりを放浪していて金が無くなった大和屋竺に送金して連れ戻したのが若松孝二。その金を返す代わりに映画を1本監督しろと言われた大和屋竺は当時所属していた日活の草鞋を脱いで正式に若松プロにやって来たという伝説がある。そして日活時代の盟友・田中陽造(!)と共に脚本を手がけ、本作が誕生したってわけだ。ベトナム戦争の報道写真で目覚ましい活躍をしたカメラマンが東京の恋人の元に戻るも、とある事実からベトナムの戦場に繋がる悪夢的な世界が展開されてゆく。それまでに考えられなかった世界観と奥行きを持った本作に嫉妬した若松孝二は足立正生に脚本を書かせ、傑作『胎児が密猟する時』を作ったというのもまた伝説。本作は、なかなか観られる機会のない作品だが、麻薬のような魅力を持った傑作なので一度は観てほしい(っつっても無理か?)。・・・

『モダン夫婦生活読本』★★★☆(1969/沖島勲監督作品)
「ニュー・ジャック&ベティ」というタイトルで記憶している人も多いかもしれないこれまた若松プロの名作。監督は日大芸術学部で足立正生の後輩に当たる沖島勲。デビュー作に当たる本作は、当時政治的ボルテージの高かった若松プロの中でも異色かつ荒唐無稽な一作だ。結婚を控えた二組の家族が別荘で式の打ち合わせをしているうちにどんどん話がおかしくなってゆき、大乱交に発展していってしまう様子を描く。1つの建物内でそれぞれの心理が交錯してゆき、崩壊してゆくといういわゆる自分の好きな家族崩壊モノの名作だ。ちなみにその手の作品でオススメは『しとやかな獣』('67 川島雄三)『家族ゲーム』('84 森田芳光)『逆噴射家族』('86 石井ソウゴ)『エキサイティング・エロ 熱い肌』('86 佐藤寿保)あたり。家族といえば『変態家族 兄貴の嫁さん』('84 周防正行)もあるね。う〜ん、今度「変態家族」特集やるか!(阿呆)。

 



 

2002.8.14〜18 宇都宮〜鎌倉〜横浜、怒濤の旅日記

8/14、15と実家に帰還。宇都宮駅に降りた途端、「餃子弁当ぉおおぉおぉおおお!」というけたたましい売り子の声。壁には「みんな、この味で育った。」などという餃子屋"みんみん"の看板。地元人間びっくりの、誰にも止められない宇都宮餃子の町化計画もどうやら最終段階らしい。あれはもう10年前くらいになるだろうか。山田邦子のTV東京のレギュラー番組"おまかせ山田商会"で栃木を餃子の町にしよう!とノリノリで宇都宮駅東口に餃子像をおったてたところから全てははじまったということを一体何人が覚えているだろうか。(実際、餃子像の裏を見るとしかと"企画:TV東京 おまかせ山田商会"という刻印があるから確認してみよう。)栃木出身だと「ああ、餃子の!」などと言われるのはもはやあたりまえだが、どうにもこうにも違和感消えず。
しかしまあ、餃子キーホルダーなぞいらんだろ。東京タワーのイメージキャラクター"ノッポン"共々寒い。寒すぎるぞ。
というわけで?犬などと戯れダラダラとした2日間を経て、16日には"おはよう栃木号"なる特急(ネーミング何とかならんかったのか、これ)で新宿へリターン。杉千代と合流して鎌倉へ出発した。
花より団子、あまいぞ男吾ってなわけでまずは行列のできるカレー屋"キャラウェイ"へ。「ご飯の量が非常に多いんですが、普通盛りでよろしいでうすか?」という謎の質問にえ?ええ。と答えたが最期。相席したおっさんの前に盛られたどうみても特盛りの飯。どうみても奥さんの小ライスが普通サイズ。焦るおっさんらを見てざわめく客席からは「小ライスでお願いします。」の声が続出。男なら普通ライスだろがぁ!と微動だにしなかった俺様、というのは嘘で、あっさり小ライスに変更。白旗。もぐもぐ。オーソドックスではずれのない味。
続いて以前からずーっと行きたかった大正ロマンカフェ"ミルクホール"。う〜んマンダム。思った通りの雰囲気に満足。ツィゴイネルワイゼンのスチール写真(アラーキーのね)が数点飾られていた。んでもって長距離をあくせく歩いて銭洗弁財天へ。銭を洗う。洗った銭は2倍になるのだ!うわははははのは〜!などと邪念まみれで洗ったため、効果薄なのは間違いなし。ふ。みんなそれぞれ涼しい顔で札まで洗っており唖然。なんたる強欲!なんたる銭ゲバ根性!
ちなみに途中かなり渋い古本屋に遭遇、織田作之助の初版本などがあってあわわわわと焦り時間を浪費した。夕方おもむろに江ノ電で江ノ島まで出て散策。途中江ノ電の窓から見える海などがよろし。窓の外を見てはしゃぐ老夫婦2組はもっとよろし。戻って横浜・中華街で食事。ハードな日程をこなしホテルにて就寝。
明けて17日、有名な卵焼き専門店"おざわ"で定食、甘味処"くるみ"のクリームあんみつを経て鶴岡八幡宮をてくてく散策。やはり結構な人出。続いて江ノ電で長谷へ。景観の素晴らしひ"長谷寺"で巨大な観音像、続いて高徳院でさらに巨大な"鎌倉大仏"を拝観。そして由比ヶ浜の"鎌倉文学館"へ。洋館、芝生、薔薇、眺望、静寂・・・ここはかなり穴場!イッツグッ!(ダウンタウンのコント"ミス・エロティカ"風に)
鎌倉へ戻って再び"ミルクホール"で夜と翌日の予定を打ち合わせ。結局桜木町へと向かい臨港パークなどを散策していると雨がざーざー。しかもここ2日間の暴飲暴食のせいか体調がおかし。やむなくホテルで早めの就寝。続く18日も今ひとつ天気も体調も良くならなかったが、ワールドポーターズや赤レンガ倉庫などを散策して夕方、似合わぬ横浜の夜景なぞ見て飯を食らってると雨は止まぬもようやく体調は快復。次の日の仕事のことを考えながらうつらうつらと居眠りぶっこいて帰路へ着いたのであった。
ぱぱんがぱん。

 



 

2002.8.11 夏本番、ついでに他力本願。

蝉がみんみんじりじり啼いて、少しノスタル爺ックな夕方。ようやく涼しくなってきたところだ。いやはや、夏本番といった感じで暑さも最高潮。うちは4階にあるので、洗濯物は数分で乾くのに俺の額には汗がじっとりとにじむ。ベランダもコンクリートが拷問に最適な程熱い。弟が大学の合宿だか何だかでいないので、部屋をぶちぬいて弟の部屋にしかないクーラーをがんがんにかけて扇風機で自分の部屋まで冷気を引っ張ってきくるなど奮闘はしているが、やはりどうにも暑い。
何だかかんだで書く仕事がぽつぽつと増えたりして、こっちの日記になかなか手がつけられないが、それはそれでちと嬉しい日々。そのせいか何だかビデオを観る気にもなれず、レコードを聞いたり、小説を読んだり、ロシアの馬鹿カメラ"ロモ"で写真を撮りまくったりの日々。(写真がそうね)
それにしても映画館にもなかなか足が向かないんだなあ。気になるのはジョン・ランディスの『ケンタッキー・フライド・ムービー』くらい。来週で終わっちゃうので、何とか観に行かないとなあ。継続的に続いていることといえば毎日きっかりビールを飲むことくらいか。はは。ビール。今日も飲むね、絶対。というわけで久々なのにとりとめもない文章で失礼したりして。誰かネタふってくれ!ネタ!(←最低)

 



 

2002.7.29 映画秘宝トークイベント報告&『恋人たちは濡れた』

ここんとこご無沙汰!そこんとこよろしく!ってなわけで「少林サッカー」にも負けないロマンポルノ版「エースをねらえ!」なーんつってキバって上映してきた金子修介の『濡れて打つ』。25日は映画秘宝編集部の田野邊さんとギンティ小林さんのトーク付を敢行。会場には"市川の乾アキラ"こと犬棒の姿も。上映は随所で笑い声があがるなどなかなか好評、上映後間髪いれず少林サッカーのテーマと共に暗闇に2人が乱入、ライトセーバーで一騎打ち開始。1分も持たずに息切れで終了、椅子を用意していると「AERAにインタビューされてたアップリンクのナヲイくんです!」などとおもむろに紹介され予定外のトーク参加へ。あたふた。ロマンポルノ、ピンク、町田康主演のカルトAV「ブギウギうっふん」までエロトーク満載。最後は田野邊さんから「何か面白いロマンポルノやピンクがあったらナヲイくんに連絡を!」という謎の締めくくりで幕を閉じた。企画終了後に2,3人からあなたがナヲイさんなんですね。何タラかんたらと話しかけられ「今後も頑張ってください!」などと言われ、辟易。この企画、「濡れて打つ」で終わりにしようと思ってるんですけどねーなんて言えないもんなあ。はは。

9月は近田春夫プロデュース、手塚真監督のロッキーホラーショー的ミュージカル『星くず兄弟の伝説』(1985)のDVDを発売。ヒロインを演じた戸川京子が自殺(ご冥福をお祈り致します)というハプニングはあったものの、岡崎京子も愛した(「東京ガールズブラボー」を読めばその影響はよーくわかります)伝説の一作の記念すべきソフト化である。内容の出来や80年代ならではのピコピコ曲の恥ずかしさはまあ置いておいてもその当時の風俗的な面白さは必見。豪華キャストにも要注目だ。詳細はまた後ほど!

それと銀座シネパトスにて『恋人たちは濡れた』を鑑賞。フィルムで観たら感動2倍。やっぱし最高っつーわけで以下、感想文。

『恋人たちは濡れた』(1973) ★★★★★
監督:神代辰巳
脚本:神代辰巳、鴨田好史
出演:中川梨絵、絵沢萌子、大江徹 etc.
75min/日活
言わずとしれた神代辰巳の代表作にして、ロマンポルノ史上に異彩を放つ"青春映画"の傑作。さびれた漁村にやってきたばかりの主人公は映画館の仕事を始めたところだが、そこは彼の故郷で名前は"克"というらしい。しかし誰に聞かれても「俺は克じゃない」と否定するばかりだ。映画はそんなふうに過去を捨て、自分の存在すら放り投げてしまっているかのようなヤケクソ気味の克と旦那が浮気している映画館の女将の刹那的な関係、そしてたまたま出会った無目的な男・三浦と女・洋子(中川梨絵)がだらだらと遊戯性に身をゆだねる姿を描いてゆく。この映画で神代作品に初めて登場した中川梨絵がぶっきらぼうな台詞回しでつかみ所のない女を好演し、独特の存在感を放っており注目。また、オープニングの読経、三波春夫や都はるみの歌謡曲、さらには主人公が歌うフォークソングなど、いささか時代遅れな曲がさびれた漁村の風景を彩る。そして出色なのが砂浜で3人が馬飛びを始めるシーン。ここでのやるせなさとバカバカしさの同居は何度観ても泣ける。そしてラスト、海岸を自転車でくるくるまわる克と洋子。何かを明かそうとした克だったが・・・夕陽が眩しい海。ストップモーション。エンディングテロップ。何度観ても完璧であ〜る!!!(号泣)。

 

 

 

2002.7.20 『一条さゆり 濡れた欲情』他戯言数点。

今週の「AERA」に名前入りでコメントが載った。当然取材を受けたのはピンク映画について。はは。ピンク。そう、あの渋谷で合唱するサポーター達にまじって桃色日本!桃色日本!と叫んでいたのはこの俺様だ(大嘘)。

さて、ユーロスペースにて藤田敏八監督の幻のドキュメンタリー『にっぽん零年』(★★★)。NHKアーカイブス系のハイレベルなドキュメンタリー。コメント、対談で長谷川和彦が登場。相変わらず「連合赤軍」撮る!とラガーシャツで豪語。うーん・・・デジャブか?いやいや。続いて、銀座シネパトスでの神代辰巳特集。『一条さゆり 濡れた欲情』初体験。以下、慌てて書いた身も蓋もない感想文。

『一条さゆり 濡れた欲情』(1973・神代辰巳監督作品) ★★★★★

観る前は、一条さゆりのセミ・ドキュメント映画かと思ってた。ところが観てみるとあくまで一条さゆりは横に実在してはいるが、主役は彼女と同じストリップ小屋で一条さんにライバル意識むき出しの奔放で衝動的な伊佐山ひろこ演じる女性だったりして。そのズラし方にはしてやられた。一生懸命やればやるほど空回りしてしまう伊佐山ひろこが実に不器用で自分勝手でカワイイ女なのだ。トップスター、一条さゆりへの負けず嫌いからじりじりしてる様子や衝動的な行動をとってしまう性格、そのたたずまいから何から完璧にハマっていた。関西弁のテンポというのもこの映画には実に良くハマっている気がする。話としては何てことない話なんだけど、やはり個々のキャラクターとか肩の力が抜けた演出が面白いんだな。滑稽でどこか哀しくやるせない、その人間臭さ。これぞまさしく神代節。たまらんなー。

 

 

2002.7.16 『荒野のダッチワイフ』(1967・大和屋竺監督作品) ★★★★★

バーテン(殺し屋コウ)「オマエの心臓が透けて見えるぜ」
殺し屋ショウ「どんな色だ?」
バーテン「真っ青だ」
殺し屋ショウ「(見下すように)色盲だってなぁ、オマエ」・・・「3時間近になると体中のゼンマイがギリギリわめくんだよ。」・・・「何回オマエを殺したかな。目を見開いたまま見る夢ン中でよぉ。」・・・「今虫ケラ一匹殺るところだ。見に来ないか?」・・・「銃身に陽炎が残ってぼやけちまうんだ。」・・・

最高である。
まさに後にルパン1stシリーズ、鈴木清順の問題作『殺しの烙印』などを手がける大和屋ハードボイルドの真骨頂。名台詞まみれ。そりゃ今字面だけ見れば気恥ずかしいくっさい台詞かもしれん。しかしこれが成立してしまう時代があったのだ。脚本はアンブローズ・ピアーズの短編(ロベール・アンリコのカンヌ受賞作『ふくろうの河』もこれをヒントにした)を元にした殺し屋の妄想と現実が混濁してゆくという奇々怪々な不条理劇で、その難解なプロットはかのフィルムノワールオタクのタランティーノが逆立ちしても書けない逸品。怪奇物語としても以前から脚本家・高橋洋(「リング」)らから大リスペクト状態。
さらに全編を彩るアヴァンギャルドなジャズは山下洋輔(!)と来たもんだからマニアは一度は見たくなるのも当然だぁよ。監督デビュー作『裏切りの季節』でその才能を遺憾なく発揮し、かの若松孝二を嫉妬させたという逸話もある大和屋竺。上記のルパン第2話『魔術師と呼ばれた男』、『殺しの烙印』(出演、主題歌作詞に歌までやってたりする)、藤田敏八の名作『八月の濡れた砂』、野良猫ロックシリーズ最高傑作『セックスハンター』、果ては鈴木清順最強のマッド映画『悲愁物語』まで、ぜーんぶ大和屋脚本。最高傑作と名高い本作も、ワイズ出版から出たビデオもさっぱり出回らなくなり、新宿ツタヤの5Fにある在庫2本(大抵レンタル中)を見るだけに留まっていた(まさかの大和屋コーナー常設と大看板付、ついでに言うとここは岸田森コーナーなどという信じられない棚もある)。いよいよのDVD化によって観られる機会もぐぐっと増えるわけで嬉しい限り。発売は8/23。その伝説の逸品を目と耳で体感せよ!



 

2002.7.12 『狼男アメリカン』&FLAIMING LIPS『YOSHIMI BATTLE THE PINK ROBOTS』

暑いねーって言われなくてもわかってるわよムキー!ってプロゴルファー猿子急増中の夏。初夏の風、バーディーチャンス(某マッド映画より)。今回はFLAMING LIPS、3年ぶりの新作アルバムをご紹介。さらに続・DVDプレーヤー購入記念企画、杉千代セレクトはまさかの『狼男アメリカン』だ!(爆)

CD◆FLAIMING LIPS『YOSHIMI BATTLE THE PINK ROBOTS』(2002)★★★☆

僕らが涙目で聞きまくった永遠の名作『The Soft Bulletin』から実に3年、負け犬ロック、メランコリック&シンフォニック部門(何だそりゃ)隊長のフレイミング・リップス待ちに待った新作である。日本人の女の子の死をきっかけに製作が始まったという本アルバムはパッケージから盤面から日本語が入りまくりで、日本人のファンには思い入れの強い作品になりそうだ。ただし、全体的に見れば正直前作よりインパクトには欠ける気もする。何たって前作はラストまで完璧だったし、「RACE FOR THE PRIZE」という一世一代の名曲が入っていた。今回はミディアムテンポの落ち着いた優しい曲調が多いからかもしれない。前半こそ気持ち良いが、後半がちょっとだけくどい気がするのだ。でもこの手のアルバムって聞けば聞く程に味は出るので今後どんな風に聞こえてくるかが楽しみ。そんな中白眉なのはボアダムズのヨシミが参加した表題曲のパート2(M4)が強烈!まさにロボと戦うごときドラミング。血が騒ぐぞー!


DVD◆『狼男アメリカン』(1981/ジョン・ランディス監督作品) ★★★
永遠の珍作と名高い『サボテン・ブラザーズ』や、現在渋谷でレイトショー中の世紀の馬鹿映画『ケンタッキー・フライド・ムービー』も話題(共に未見)のジョン・ランディス監督による伝説のカルトホラーがまさかの超豪華仕様によりDVD化。とにかく全編ハッタリ満載のコミック調。度々主人公が見る悪夢のシーンなどはもう唖然とするようなデタラメさだし、死んだ友人がしょぼいゾンビメイクで「よお」と現れる始末でしかも徐々に腐っていくメイクだけは凝ってる。というのも本作の特殊効果は『スターウォーズ』などで有名なリック・ベイカーの手によるものだったりするのだ。よって伝説的に有名な狼男への変身シーンが本作中唯一目を見張る名シーンなのだが、緊張感ゼロのバックミュージックがいい加減。そんでもってラストも咳き込む程唐突。などなどとにかくツッコミどころ満載、ジョン・ランディスのコミック調のデタラメ演出が頂点に達した珍作だ!そして何よりアホなのはこのDVD、デジパック仕様に当時を思い出して終始ニヤニヤしてるジョン監督のインタビューに、未公開NGシーンなど特典も超豪華なことか。

 

 

2002.7.7. 『スパイダーマン』『情事の履歴書』

日本の誇る名俳優・下元史朗さんが来てくれたトークショーをもってしてピンク映画関連のイベントも一段落。300本以上あるフィルモグラフィーをほぼ記憶、資料などの管理が徹底しているらしく「整理できないのは女だけだな。。。ふっ。」みたいなことを言い出すイカすおじさんだった。さてこれからは、映画評を中心に書くぞ、と誓ってみる日曜日の午前中。昨日杉千代がDVDプレーヤーを買ったので何か記念にソフトも買わねばと思った挙げ句買ったのはPTアンダーソンの『ブギーナイツ』。杉千代はおもむろに『プロジェクトA』『燃えよドラゴン』を「あたしの原点だから」と言い放って購入した。ま、負けたぜ。姉さん。

『スパイダーマン』(2002/サム・ライミ監督作品) ★★★★
 
初のワーナーマイカルin板橋にて。アメリカン・コミックのヒーロー、スパイダーマンだが、本作はどちらかといえば池上遼一×平井和正によるコミック版(ていうか原作がこうなのか?)だ。とにかく戦えば戦う程追い込まれてゆき、敵は友達の父だし、友達は好きな娘と付き合ってるし、オマケに最後も悪を倒しても全然大団円とも行かず。こうして愛や人間関係に葛藤する設定のヘビーさは永井豪の傑作漫画「デビルマン」系(あそこまで残酷じゃないけど)。なーんかちゃんとシリアスなんだよね。感心感心。見応えあったよ。監督は「死霊のはらわた」など超低予算で十二分にエンターテインメント作品を生みだして来たサム・ライミ。最近はすっかり巨匠になってしまったもんだ。主演のトビー・マグワイアはハマリ役、悪魔が乗り移ったウィレム・デフォーは相変わらずの怪演。ていうか顔がずるいぞ、顔が。ヒロインは「ヴァージン・スーサイズ」「チアーズ!」でブレイクしたキルステン・ダンスト。雨の夜道のエロい格好での一人歩きは避けましょう。スパイダーマンじゃなくてレイプマンが来るぞ。あ、ちょっとその2人の対決観たいけどね。あは。 

『情事の履歴書』(1965/若松孝二監督作品) ★★ 
先に言っておくが、自分ところでDVD化する作品を★2つでえーんかい!と突っ込まれそうであり尚かつもちろん若松監督には口が裂けても言えない★数ですが、アクマで個人的な趣味なのであしからず。『処女ゲバゲバ』『ゆけゆけ2度目の処女』などは最高だしね。で、この作品は1965年ということもあって若松プロが政治的ボルテージを高める前の作品で何処か古さも感じさせる。本作は若松作品の中では意外なテーマである"したたかで強い女の生き様"。レイプされて雪山をオールロケで突っ走って雪で身体を洗うシーンは当時話題だったとか。それも含め力強いシャシンである。鼻血だとか画面がぐわーんと歪んだりだとか、バイオレンス表現もいろいろ四苦八苦してる感じが逆に新鮮だったりもして。見所は結構あり。ラストの吐き捨てるような台詞にはしびれました。はい。

 

 

2002.7.1. ワールドカップ決勝・魔の環状七号線

ワールドカップ決勝、ブラジルVSドイツ。試合後、ポストの前を動かないカーンに泣けた。ブラジルに奪われた1点目は本当に悔しかったに違いない。今大会唯一のミスと言っても良かった。それをしたたかに決めるのがブラジルだ。ドイツは1人1人がサイボーグのように巧く組織的で、いわゆる勝利至上主義で観ていてワクワクはしない。それだからこそ唯一血が通ったような感じのするカーンの存在は際だつのかもしれない。(あとリトバルスキーを思い出させるドリブラーで、何かいつも泣きべそかいてるみたいなノビルも良いが。)次のドイツ自国でのワールドカップ時は36歳。老錬な赤鬼はピッチに立っているだろうか。。。今後の行く末、見届けたし。とにかくワールドカップは終わってしまった。思えばワールドカップらしいスーパーゴールってあまりなかった気がする。一番すごかったのは、入らなかったけどトルコのハカンが準決勝のブラジル戦で放ったFKからのダイレクトボレーかなあ。

さて、家庭の事情でしばし杉千代さんとも会えず映画「波」のサントラを聴きながら自宅で弟の部屋と入れ替わり作業を強行。謎の超広ベランダ側はなかなか開放感溢れてて宜しいのだが、虫がね。虫。こんにゃろ。こんにゃろ。んでもって今後の仕事とか人生のことなんか考えちゃったりなんかしちゃったりして。はは。週明けて見事に遅刻ですよ。あなた。あなーたー。あなーたー。あなたがーいてーほしいいいいいっとまあこういう歌とか使うからまた年齢に疑いかかるんだよな。久々にチャリンコで会社へGO。坂道にバテたりして。情けなし。ぼよーん。夜は佐藤寿保監督から恒例となった環七のローカルなコンビニで上映用素材受け取り。「これ、1本しかないからね」と言う寿保監督。めがねの奥の目が光ったような光ってないような。蒸し暑い上に変な汗かく俺。環七で変な汗かいたのは引っ越しの時に掃除機を自転車の前輪で大破して以来だ。何が起こるかわからない魔の環状七号線。夜1時で閉まってしまう謎のコンビニ、スリーエイトと共にあなどれないのである。むむう。