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<Vol.14>2001年に観た映画ベスト20
<Vol.13>Don't let it bring you down!(へこたれちゃだめだ)
<Vol.12>3度目の『UFO少年アブドラジャン』、泣ける鍋の秘密
<Vol.11>遠くなってしまった左耳と2本のピンク映画の巻
<Vol.10>激努!ヤケクソのゾンビ極道の巻
<Vol.09>フーリガンはネオン街の夢を見るか?
<Vol.08>まさかのスカパー&VHS 地獄のコンビネーション編
<Vol.07>『アメリ』&年忘れスチャラカパーティーの巻
<Vol.06>向こう見ずなピンク映画DVDシリーズ”NIPPON EROTICS”始動。
<Vol.05>パラノイド・アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
<Vol.04>熱血通訳ダバディの青春
<Vol.03>栃木の片田舎と「スクール・ウォーズ」
<Vol.02>ゾノ、覚えてますか。(注:森本レオ風にお読みくださひ)
<Vol.01>ガンダム夜話 「島ザク」と「ジオン独立愚連隊」

MOJO`s Silly talk <Vol.14>

2001年に観た映画ベスト20

1.不思議惑星キン・ザ・ザ         
2.UFO少年アブドラジャン 

(共に渋谷ユーロスペースにて)
『キンザザ』が珍作から名作へと昇華した2001年。誰がこんな年を予想したであろうか?完全な内輪受け珍SF映画が突然のリバイバルにロングヒット。大好きな友達が突然有名になってしまったような嬉しさに、笑いが止まらなかった。音楽から造形から実に素頓狂な映画だが、冷静に観れば冒険、友情、笑って泣いてというツボを全て兼ね備えているではあ〜りませんか。これぞ仲の良い友達へ、好きな人へ、次世代の子供達へ、受け継がれていくべき名作である。12月から始まったアブドラジャンも然り。この『ドラえもん』や『E.T.』にも負けない胸キュンSFも期待に応えてくれることを信じてやまない。

3.はなればなれに 
(銀座テアトルシネマにて)
何でまたこんなゴダール史上キャッチーな映画が30年も日本で公開されなかったのか、詳細は知らないが、アンナ・カリーナ達の踊るマディソン・ダンスには胸がときめいちまったね。ジャン=リュック”シネマ”ゴダールなんて若気の至りも含めて実に愛すべき傑作。音楽も”傷天”みたいでこれまた愉快。12月末にはDVDも発売。

4.GOD SPEED YOU! BLACK EMPEROR 
(シネマ下北沢にて)
「暴走族もマトモにできねえやつぁ社会にも出れねえんだよ」・・・日本初の暴走族”BLACK EMPEROR”を柳町光男が追った、NHKアーカイブスも真っ青なドキュメンタリー映画の傑作。青春映画としても最高の出来と言えよう。バイク音が小さくなっていくラストシーンには感動すら覚えた。昔の”不良”はこんなにもかっこよかった。彼等はその後どんな人生を送ったのだろうか。乾いたモノクロ画面におさめられた彼等の台詞、表情は一度は観ておいて損はないぞ!

5.片栗家の幸福              
(東京国際映画祭にて)
韓国のキテレツファミリー映画『クワイエット・ファミリー』を三池特有の悪意に満ちたスパイスでぐつぐつと煮込んで仕上げた前代未聞のファミリーミュージカルホラー?何を隠そうラストのクレイアニメには腹痛になるほど笑ってしまった俺様。コメディアン化したジュリーの痛々しさを吹っ飛ばす、松坂慶子の歌に踊りに迷いなきパフォーマンスが圧倒的。台詞も美味しい所取りだしな。ついでに忌野清史郎の演じるインチキ外人にもしてやられた。

6.ゴーストワールド            
(恵比寿ガーデンシネマにて)
女はソーラ・バーチに、男はスティーブ・ブシェミに共感して一気に心をワシヅカミにした屈折系青春映画の傑作。 詳しくはこちらの特集をば

7.火を噴く惑星              
(三百人劇場にて)
空気がないのに堂々と爆発する火山。ぴょんぴょん飛び跳ねる等身大のゴジラ。敬語にしか従わない頑固ロボット・・・『惑星ソラリス』『不思議惑星キン・ザ・ザ』と共に旧ソ連が誇るB級SFの至宝。筆者が会社サボって観に行ったことがバレて減給された上に一緒に行ったのが人妻ではないかという疑惑まで持ち上がって大変だったことも含め、ロシア恐るべし!と言いたい。

8.テルミン                
(恵比寿ガーデンシネマにて)
これだけ胸のときめくドキュメンタリーなぞ、たぶん2度と観れないだろうと思った。そして何よりブライアン・ウィルソンがやばい。あれを記録しただけでも大いに価値あり。

9.忘れられぬ人々             
(テアトル新宿にて)
おじいちゃんおばあちゃんたちの余生を描いたオーソドックスな人間ドラマと思いきや、ラスト付近で一気にペキンパーテイストに変貌する男気映画の傑作。泣けたぜ。さらに見に行った日が敬老の日で、観客のほとんどがじいさんばあさんだったのがまた泣かせたね。

10.『殺しの烙印』他清順レトロスペクティブ   
(テアトル新宿にて)
キンザザのリバイバルも嬉しかったが、鈴木清順の大々的なリバイバルも容赦なくて疲れた身体を引きずってテアトル新宿のレイトショーに通いまくったものである。『すべてが狂ってる』や『らぶれたあ』という異色作が観れたのも嬉しかったが、やはり『殺しの烙印』『東京流れ者』『野獣の青春』『探偵事務所23』『河内カルメン』『刺青一代』『関東無宿』などを大画面で観れたことは最大の喜びであった。色彩美学のみに傾倒し過ぎていない日活時代の清順の適当さ、奔放さ、純粋な面白さにはしびれくらげ。

11.焼け石に水               
(渋谷ユーロスペースにて)
ファズビンダーの戯曲を原作にしたフランソワ・オゾン最高傑作。ハイセンスな密室劇というものはいつ観てもしびれる。突然訪れるサンバでダンスシーンも決まっておった。チラシ、タイトル、ずーっと水着のナイスな女の子まで含めてもうちょっとヒットしても良かったろうに。

12.台風クラブ               
(銀座シネパトスにて)
相米慎二の追悼特集にて鑑賞。念願叶って大スクリーンでの鑑賞を初体験したのだが、やはり必殺の長回しはスクリーンでこそ映える。権利問題で今後の上映が難しいとされているのが実に残念な傑作。

13.フィツカラルド             
(BOX東中野にて)
類は友を呼ぶ、という次元では治まり切らないスケールの2人が生み出した数々の傑作が今年リバイバル、DVD化された。アマゾンの奥地にオペラハウスを建てたい!その思いのために資金稼ぎとはいえ遊覧船を山越えさせるという化け物監督ヘルツォークの誇大妄想を具現化するべく奔走する化け物俳優キンスキー。野望に挫折しながらもすがすがしいキンスキーの悪顔に、俺は感動した。

14.回路
(渋谷シネ・フロントにて)
今思い返すと、観た直後より、ずーっと怖い。得体のしれない幽霊の動きや壁の染み、画面の向こうに映る何か。それらは時間を経てより曖昧で無気味な物になってきたのだろうか。とにかく前代未聞の映像が満載。特に謎の少女が飛び下りるシーンはトラウマ度大。余談だが、麻生久美子はいい。いいったらいい。

15.キングオブカルト石井輝男特集『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』
(自由が丘武蔵野館にて)
『恐怖奇形人間』が恒例となってしまった感のある石井輝男。思ってもみなかったラスメイヤー直系の怪作。池玲子扮する猪鹿お蝶と無数の女体が大暴れ、ラストの赤いスカーフと夕陽と音痴な演歌に男はたじたじであ〜る!来年も頼んだぜ、自由が丘武蔵野館!

16.ふたりの人魚              
(テアトル池袋にて) 仕事柄偶然出会った本作だが公私混同というわけではなくて、結構素直にお気に入りである。複雑なプロットとこだわりの手法が生み出した都市伝説的な物語。2役を演じたヒロイン、ジョウ・シュンも魅力的だ。もっともっと多くの人に観てもらいたいもんだが・・・。

17.ツィゴイネルワイゼン          
(シネセゾン渋谷にて)
この頃の清順映画ってのは個人的にそんなに好きではなかったが、今回劇場で見直してこの『ツィゴイネルワイゼン』はかなり気に入った。やはり原田芳雄、大谷直子、藤田敏八、大楠道代らの存在感は圧倒的で、熱にうかされたような、目眩のするようなこの140分は永久保存する価値がある傑作ですな。(『陽炎座』も捨て堅いけどにー)

18.ギャラクシー・クエスト         
(渋谷シネクイントにて)
パロディ満載のオバカ系SFかと思いきや、根っこにあるのは”中年の哀愁”。ラスト、かっこよく決めた後肩で息をする主人公のおっさんにはブラボーと言いたい。オタクが地球を救うってのも素晴らしいよな。

19.キングオブカルト石井輝男特集『徳川いれずみ師・責め地獄』
(自由が丘武蔵野館にて)
またまた登場の石井輝男。ネオンの刺青、又裂き、目つぶし、陵辱ととにかく不道徳極まりないデンジャラスムービーである本作にはおったまげた。拷問拷問また拷問。そして二転三転するストーリーに迷いなく暴走する主人公。ハニー!すまなかったあああ!ともがき苦しむお馴染みの吉田輝雄を思わず父のような眼差しで見つめてしまった自分も相当やばいよな。

20.ザ・コンヴェント
(渋谷シネアミューズにて)
何というか、迷いなくあらぬ方向に全力疾走してくれる映画ってやっぱ好きだ。大好きだあああああっ!(←阿呆)。

 

MOJO`s Silly talk <Vol.13>

2002.1.13  Don't let it bring you down!(へこたれちゃだめだ)

『十九歳の地図』 ★★★
『Don't let it bring you down (変態テレフォンONANIE)』 ★★★★☆
『鉛の墓標』 ★★★

昨日は一日遅れで『アブドラジャン』を体験した宣伝担当Tさんと下北ストーリーズで3時くらいまで飲み。ジョナサン・リッチマン万歳(謎)。ちなみにアブドラジャン最終日は先日にも増して立見状態だったそうな。素晴らしひ。
次の日は不条理な土曜出勤、限り無く無駄に近い会議は何と3時間も続いた。合掌。なーんもやる気がなくなった上に激しい眠気。帰っておとなしく眠りにつき、気付いたら明け方。『十九歳の地図』を観る。確かに主人公は犬棒に似ている。蟹江敬三の負け犬人生もなかなか。しかしまあ中上健次原作のせいかどーにも内に向かって暗いんだよな。
続いてDVD化が決定しているピンク映画『Don't let 〜』。2回目となる今回、僕は不覚にもラストで泣いてしまった。これこそ世にキチンとした形で出してあげたい名作だ。

年明け初のジャズ喫茶マサコ。店員のモエさん、スズユキさんらと今年もよろしくーと会話を交わし、読書にふける。夕方レコードプレーヤーとカセットデッキをくれるというがるさんに会いに上北沢へ。お茶後、ガラガラとブツを引きずって帰宅。若松孝二の『鉛の墓標』を鑑賞。う〜ん、骨太。女優キレイ。1964年の作品ってこともあってまだお得意の”反権力”なテーマは見えないため、オーソドックスな殺し屋モノとして楽しめたぞ。

ちなみに本日、明大前の古本屋で座右の書である野坂昭如『エロ事師たち』の初版本をゲットした。スブや〜ん!これ、町田康好きの若者は必読だぞ。いや、別に若者じゃなくてもいいんだけどね。

 

MOJO`s Silly talk <Vol.12>

2002.1.10 3度目の『UFO少年アブドラジャン』、泣ける鍋の秘密

『UFO少年アブドラジャン』 ★★★★★

今日は仕事後に友人4人と渋谷ユーロスペースにて自身3度目の『UFO少年アブドラジャン』。
やはり鑑賞中ずっとニヤニヤが消えず、さらにラストでホロリときてしまう傑作である。しかしまあ金曜日で終わってしまうせいか、満員!『不思議惑星キン・ザ・ザ』に引き続き大好評の模様。結局床に座って観た。
終わって友人のうち2人と渋谷の”山家”で軽く飲んで下北へ帰還。ストーリーズでヨーコさんと合流。アブドラジャン等について語る。しかしまあ本日の言い出しっぺのブンコさん、仕事が忙しいみかん氏が結局来れず。残念無念。帰り際にヨーコさんに「スクールウォーズの上映会やれー」という声をかけられた。
相変らず左側の耳鳴りは止まない。病院行きかねーこりゃ。はわわ。

 

MOJO`s Silly talk <Vol.11>

2002.1.9 遠くなってしまった左耳と2本のピンク映画の巻

『少女情婦』 ★★★☆
『OLの愛汁・ラブジュース』★★☆

何故か朝から左耳が難聴気味。過労によるストレスなのか電話かけ過ぎでクラッシュしたか老化なのかはわからんが、困ったものだ。合掌。チーン。
夜、友達と飲みはぐって結局下北のストーリーズで1杯ひっかけて帰宅。今だ左側が静かな世界。ずっとキーンという音が鳴り止まない。目を閉じて音に集中すると音が拡散してゆくような奇妙な感覚。

さて、本日は権利元さんから送られて来たピンク映画7本のうち2本を鑑賞。『少女情婦』は高橋伴明の1980年の作品。商業映画よりもピンク時代が評価されてる感のある監督だけに期待。傑作と言われている『襲られた女』『少女を襲う』などは観てないので何ともいえないが、評論家達が言う高橋氏特有の”激しさ”というものはあまり感じず、リリカルな佳作といった感じ。しかし最後の横断歩道での抱擁シーンがいいんです。すごく。大杉漣がバーテン役で登場。演技、変です。変。可笑しい。ちょび髭だし。
もう一つは90年代のピンク映画の代表作『OLの愛汁・ラブジュース』(原題『ふわふわとベッドの上で』)しかしビデオ化時のタイトルは『はたらくおねえさま・アフター5は我慢できない』というだめだこりゃーなものになっていて困る。初めて観る側にとっては変な違和感は無しでした。内容は28歳で突然彼氏に振られたOLが電車で隣合わせになった20歳の青年と何となく付合って何となく別れるっていうラブストーリー。無目的・感情が希薄な青年、何となしの性行為。90年代の男女を見事に描き切っているのは素晴らしいのだけど、個人的にはまずまずってところ。絶対女の人の方が共感しやすい作品だな。ちなみに公開時は音楽に椎名林檎を使用していたが、ビデオ化の歳には微塵もなくピアノ曲に変わっているのが一度観た人には違和感あるだろうか。ま、初めて観る側に取っては問題なかったけど。

明日は友達を引き連れて3度目の『UFO少年アブドラジャン』。みんな鍋持ってユーロスペースに集合だ!(嘘)

 

MOJO`s Silly talk <Vol.10>

2002.1.8. 激努!ヤケクソのゾンビ極道の巻

『実録外伝・ゾンビ極道』 ★★☆

昨日から仕事再開。案の定1週間以上も休んだツケがまわってきている。倒しても倒しても敵が出てくる感じだ。 いよいよピンク企画も宣伝開始。思い付きで言ったキャッチコピー、30分で書いた解説文が採用されてしまった。 合掌。

そんなこんなで眠い目をこすり観なければいけない山のようなビデオ類を交わして映画秘宝等で絶賛されてたVシネマ『ゾンビ極道』。監督は『発狂する唇』『血を吸う宇宙』などパッパラパーなホラーやSFでお馴染みの佐々木浩久。主演は『スクールウォーズ』の初代番長・水原役が今だに抜けてない小沢仁志。始まって10分くらいでゾンビ化。ぎこちない動きでゾンビぶりをアピールだ。で、この映画、とことん『仁義なき戦い』とか東映の実録路線を真似してて笑える。佐々木監督自ら風ナレーション、オマケに室田日出男とか出てるし・・・ていうか実録なのにゾンビかよ!(三村風に)いやね、最後に山下真司が出て来て目を覚ませー!水原ああああ!とか言ってくれたら今年のベスト1だったんだけどね(嘘)。まあ何せVシネだからね。こんなもんでしょ。あ、そうそうゾンビ化した水原・・・じゃなくて小沢仁志が墓下から復活するシーンはまんま『血ぬられた墓標』のパクりでやんした。ついでに骨をぽりぽり・・・って『仁義の墓場』じゃー!ぎゃははははーだ!・・・って暇じゃないんだよ俺は!アホか!うぎゃー!(以下略)

 

MOJO`s Silly talk <Vol.9>

2002.1.6. フーリガンはネオン街の夢を見るか?

『メメント』 ★★★

昨日サッカー番組を観てたらイングランドの元極悪フーリガン(『ウォリアーズ』のリフスのメンバーみたいな屈強なお兄さん)にインタビューを決行していて、W杯時、日本の何処に集結する予定なのかという質問に対し、「東京シティ。そう、ネオンの街だ。今までに見たことのない光を見せてやるぜ!」などと答えていた。何とも頭は悪そうだが実に頼もしいコメントを残しちゃってて恐ろしい限り。
つまり試合は札幌だが、取りあえず暴れるのは東京らしい。というか東京しか知らないんだなありゃ。
あな恐ろしや。

深夜のストーリーズを経て正月最後の休日。渋谷でストーリーズの現役バーテン・ヒロコさんとレコード漁り。その後に『メメント』を鑑賞。相変わらず大盛況で並ばされる始末。
10分置きに記憶を失って過去へと時間が辿ってゆく・・・という内容はやはり目が離せず、楽しむ以前に己のメメント状態との葛藤に終始、集中力を意地するのに結構疲れてしまった。でも奇抜な設定はさておき、結構ハイセンスな映画なのは事実。DVD化の際は是非エンディングから逆に見れるシステムを導入してほしいね。ふ。

というわけで明日は2002年度初仕事。波乱万丈。銀河万丈。インドにピンクに火星探検。
今年は一体どうなることやら・・・。
アーメン。

 

MOJO`s Silly talk <Vol.8>

2002.1.1.〜1.4. まさかのスカパー&VHS 地獄のコンビネーション編

『呪いの館・血を吸う眼』   ★★    *CS/チャンネルNECO
『クーリンチェ少年殺人事件』 ★★★★★ *VHSにて
『デスペラード』       ★★    *CS/チャンネルNECO
『男たちの挽歌』       ★★★★☆ *テレビ東京
『赤い影』          ★★★★  *VHSにて
『アイズ・ワイド・シャット』 ★★★   *CS/スターチャンネルプラス
『マジェラ&マギンティ事件』 ★★★☆ *CS/シネフィル・イマジカ
『偉大なる創造』       ★★★   *CS/シネフィル・イマジカ

TVで天皇杯を観て実家へ帰省。何と時分の部屋に父親が導入したらしきスカパーが。しかも契約前の見放題期間。これで正月の運命は決まってしまった。サッカーに映画に朝から晩までモニターに釘付けであった。合掌。『血を吸う眼』『デスペラード』『アイズ・ワイド・シャット』”世界の短編映画集”などを鑑賞。岸田森の血を吸うシリーズは2個目だが、雰囲気は宜しいんだけどどうもこう、話がたるいんだよな。岸田森には文句ないし、女優さんもみんないいんだけどなあ。何でかあまり印象に残らない。
///『クーリンチェ少年殺人事件』は2回目になるんだけど、やっぱり凄い映画だ。女の人の不可解なまでの奔放な心理の変化とそれに振り回されて悲劇を起こしてしまう少年。ロングショットを多用した4時間、長い時間をかけてゆっくりと崩壊してゆく理性。取り返しのつかない時間の重みが伝わってくるのだ。胸をかきむしられるような映画だ。
///あと今回面白かったのがビデオで観た『赤い影』。ニコラスローグがベニスを舞台に描いた迷宮的な映画で、ラストには「ギャッ!」(楳図風に)という背筋の凍るような仕掛けまで用意された傑作。必見ですぞ。ベニスの街はもちろん、音楽も素晴らしい!
///『アイズワイドシャット』は思ってたよかずーっと深くて哲学的な映画。なめ過ぎでした。。。クルーズ夫妻。性の哲学書『日本列島蝦蟇蛙』(ジョージ秋山)と合わせて観たい映画ですな(嘘)曲がりなりにも、キューブリック。流石でした。
///シネフィルイマジカでやってた世界の短編映画特集をちょいと観た。中でもアイルランドの作品『マジェラ〜』が面白かった。些細な出来事が子供の中では多いに勘違いを経て大事件になってしまう、愉快な映画。背景にテロが出てくるのもアイルランドらしくってグー。
『偉大なる創造』はアメリカの作品でこれまた皮肉っぽくて面白かった。あといろいろ観たけどどれがどれだか覚えておらず。お目当ての『恋に落ちたジョージルーカス』は見事に見逃した。
///『男たちの挽歌』、やっぱせつねーよなー(号泣)。原題が『英雄本色』ってのがたまらんね。ていうかこれの後寝てしまったため『男たちの挽歌「』を観逃した。実は密かにまだ観てなかったりする。合掌。しかし元旦にこれを持ってくるテレビ東京。今年も期待してるぜぃ。

ちなみに一応家族と初詣に出向いたが、元旦に火事があったらしく門が封鎖されており裏から攻撃。その後仕事も兼ねてパルコ内のタワレコに。父親に頼まれた松山千春のベストを単独で買うのが恥ずかしかった為、『アメリ』のサントラを一緒に購入。

MOJO`s Silly talk <Vol.7>

2001.12.30.〜12.31.  『アメリ』&年忘れスチャラカパーティーの巻

『アメリ』(渋谷シネマライズ)   ★★★☆ 

30日は久々にブンコ姉さんと会って『アメリ』を鑑賞。巷の人気の通りの出来映え。
妄想狂で悪戯好きの女の子が恋愛によって初めて現実と向かい合うまでを描いたチャーミングな映画で、想像を絶する程の遠回しな作戦が何とも愛らしいのだが、特筆すべきは相手役のマチュー・カソビッツが大人の玩具屋で働きつつ照明写真の下を漁って写真を収集しているちょっと変なお兄さんってところか。王子様役がこういうキャラなことによって一気に評価できるね。例えばエロ劇画好きで妄想狂の浪人生も出会いの可能性があるってことだよなあ?(笑)・・・あっ、今千葉の方で浪人生が1人鼻血出したかな・・・ってまあそんなこんなで結構楽しめてしまった。
随所にジャン・ピエール・ジュネらしいシーンやお馴染みの俳優さんもいたりなんかして。あとはあれだ。アコーディオン主体のサントラが素晴らしい。ヤン・ティルセンっていうフランスのミュージシャン。
さて、その後ブンコ姉さんと池ノ上の古本屋兼喫茶店、下北のアンティークショップなどでぐだぐだぶらぶらとしてひとまず帰宅。夜中に飲みに行く予定だったが極寒のため中止。ビバ!負け犬。

明けて大晦日の夜はディスクユニオンのナイトバーゲンで友達と合流後、下北のバー”ストーリーズ”で常連組によるカウントダウン。何やら恒例になりつつあるこのパターン。去年程盛り上がらなかった気がするものの、蕎麦に餅に酒酒酒なオールナイトでぶっとばして明け方みんなでフラフラと神社へと初詣。
来年もよろしく哀愁なのでありました。ちゃんちゃん。

 
MOJO`s Silly talk <Vol.6>

2001.12.26.  向こう見ずなピンク映画DVDシリーズ”NIPPON EROTICS”が始動。

ひょんなことから仕事でピンク映画と多いに向き合うこととなった昨年。”痴漢電車””団地妻”など配給会社に振り分けられたテーマが定まっていること、15分おきくらいに濡れ場を入れて、タイトルを劇場用にベタベタなエロタイトルにされるということ以外はほぼ自由。低予算ということもあり、殊更監督のセンスが露になるジャンルでもある。
60年代の若松孝二や大和屋竺は特殊なので例外として、80年代には高橋伴明や滝田洋二郎が活躍し、周防正行、金子修介、中原俊、黒沢清などのビッグネームがロマンポルノやピンク映画でデビューを果たしている。
しかし、その後アダルトビデオの急速な普及の煽りを受け、劇場の動員数が激減、閉館が相次いでゆく。しかし、それを逆手に取って作品をより”映画”として深めていった男達がいた。
それがピンク四天王(佐藤寿保、瀬々敬久、サトウトシキ、佐野和宏)である。
彼等は何を隠そうピンク劇場では濡れ場目的の客の欲求不満と怒りを買ったことから”客の入らない四天王”と悪評高かった4人なのだ。
彼等はアテネフランセ文化センターや、ユーロスペースでの上映などで確実に”映画ファン”を動員し、ピンク映画の新たな在り方を示唆した・・・
とまあそんなわけで今年、ピンク映画を中心としたDVDシリーズがスタートするのだが。まあ何といってもコアな映画ファン以外にはまだまだ理解されていないジャンル。ピンク四天王って聞いただけでは厭らしいおじさんが4人(何故か髭もじゃ)でいひひひひとか笑ってる絵しか想像できない人も多いことであろう。どんなに熱弁振ったところで、作品を観ないことには偏見は消えない。

というわけで僕にとって今年一番の大きな企画となりつつあるピンク映画DVD企画”NIPPON EROTICS”。3月21日に第1弾が発売予定なのでよろしく買収。詳しくはニュースにて随時アップしていくぞよ。

”誤解”と”偏見”と”食わず嫌い”。ピンク映画について回るこの忌わしき言葉が消えますように。あーめん。

 

MOJO`s Silly talk <Vol.5>

パラノイド・アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

中学生の時だったか、村上春樹の『ノルウェイの森』で提示された「あらゆる物事と距離を置くこと」というスタイルが偉くかっこよく見えたっけ。そしてその後、岡崎京子の漫画『リヴァース・エッジ』が登場する。死体を見ても何も感じない若者達が ”平坦な日常で生き延びる”様子を描き、突拍子もない殺人や死を日常化し、それは驚きと奇妙な共感を呼ぶ傑作として当時先鋭的だった若者達に迎え入れられた。しかしそこから僕が感じたのはあくまで”奇妙な共感”であり、その後僕らが無感情にな っていくかもしれない、というあくまで”可能性”だった。ところが時を経ていくご とに、この漫画は実にリアルになってゆく。岡崎京子が鳴らした警鐘、”無感情の可能性”は”現実的な共感”へと変わってしまう。子供達はTVゲームでヴァーチャルト リップ、病的な心理葛藤も記憶に新しい『エヴァンゲリオン』がオタクはおろか一般人まで巻き込む大ヒットを果たし、現実でも子供による殺人事件が多発、確実に病んでゆく時代。そんな時に岡崎京子がいなかったことは非常に残念であった。彼女がいれば、僕らの未来をまた予見してくれたであろうに。

さて、世紀末を越えて2001年。イギリスからとんでもないアルバムが届いた。『KID A』と名付けられたそのアルバムは言い様のない不安と奇妙な心地よさ、そして途方 もない疲労感に包まれていた。大傑作『OK COMPUTER』から4年。トム・ヨークが生み出したのはまるで臨死体験的な内省的な音であった。1曲目『Everything Right Place』のエレピによるイントロ、無機質な2曲目『KID A』の言い様のない不安と心地よさ。これはあまりにもリアルで、具体的な形をしていた。そして『How To Disappear Completely』。「あそこにいあるあれ、あれは僕じゃない。」「僕はここにいない」と歌われるあまりに美しい曲。それは自己の存在理由どころか、存在そのものの否定である。生きてるんだか死んでるんだかわからない究極の無気力感。ラスト、赤ワインと睡眠薬で自殺を計ろうとする男の歌『Motion Picture Spundtrack』 アルバム中唯一といっていいヒューマンなパイプオルガンの調べがそれまでの緊張感 をときほぐし、言い様もない安堵感を迎える。それは涙すら流れるほどの、まるで映 画『ソイレント・グリーン』みたいな歌。

僕らゆるやかに死んでゆく〜って歌ってたのはフリッパーズ・ギターだっけか。ま、 とにかく死のうが死ぬまいが、いろいろ諦めちゃった方が人生楽だと、アホでも気付く時代になっているわけで。可能性はごろごろしてるけど、ふんばるのがしんどくって。少なくとも『リヴァース・エッジ』が流行った時はみんなどうやって生きるか、 焦ってちゃんと模索したんだろうけど。今はみんなそれもしなくなって、みんなどんどん幽霊みたいな存在になってゆくのかもしれない。こわいですねー。こわいですね ー。そこまでして生きてて楽しいんでしょうかね。もしかしたら死ぬのすら面倒臭くなったりしてたりして。というわけで?何でか手塚治虫の傑作『火の鳥』でロビタというロボットが集団自殺するシーンを思い出す今日この頃です。合掌。

<ナヲイ>

 

 
MOJO`s Silly talk <Vol.4>
熱血通訳ダバディの青春

コンナンジャ3ー0デマケルヨォ!オマエラヤルキ見セロヨゥ!サッカー日本代表のトルシエ監督の言葉、そして心情をダイレクトに通訳する熱い男フローラン・ダバデ ィ氏。全身全霊で通訳し続ける彼はあまりに燃え過ぎてトルシエとサッカー協会のトラブルの火種を作っているという噂もあるほど。

そんな彼の素顔は映画雑誌プレミア の編集者。 そして父親が脚本家で幼少の頃から高名な俳優たちに囲まれて育った彼は、 トルシエのインタビューで 常にカメラフレームの中にちゃっかりと収まるショービズ世界の申し子だ。そしてなんといってもあのシドニー・オリンピックでのアメリカ戦での彼は素晴らしかった 。 PK戦で肩を組んで見守る選手達のど真ん中に陣取って一番声出してたのはまぎれも ないダバディ。そしてインタビューで飄々と敗戦を分析するトルシエの通訳中、「ヤッパリネーヤッパ・・・ウゥっ・・・ゴメンナサイ!」っと嗚咽して言葉を詰まらせ たダバディ。先日も語るトルシエの裏をすーっと通り過ぎたのはFW高原と肩を組んで ゲキを飛ばす彼だった。

果してどこまでが演技でどこまでが本気なんだろうか?実は 彼の演技に僕らが踊らされているだけなのではないのか?「トルシエ自身になりきる 」をモットーとする彼の過剰で熱いパフォーマンスはいつしか通訳の枠を越えて本当 に監督になってそうなほどの勢いである。しかし、そんな憶測をよそに、無気力な時代に喝を入れるがごとく今日も吠えるダバディ。オマエラカチタクナイノカヨゥ!! ヤルキノナイヤツハ帰レヨウ!『スクール・ウォーズ』の山下真治も顔負けの熱血通訳の彼が日本を席巻する日は近い?そして、某負け犬Jリーガー、 前園にも喝を入れてやって欲しいところだ(謎)。

 

 

MOJO`s Silly talk <Vol.3>

栃木の片田舎と「スクール・ウォーズ」

僕が小学生の頃、学校から帰って5時からのTBSのドラマの再放送を見るのが楽しみだった。中でも『スクールウォーズ』のミニブームは栃木の片田舎を席巻し、不良たちはみんな松村雄基になろうとし、懸垂ができない、もしくわ病弱な子供はみんなイソップと呼ばれ、伊藤かずえ似の女の子はモテモテで、花園ラグビー場は甲子園と同等の扱いとなり、みんな和田アキコと梅宮辰夫は夫婦だと信じ込んでいたほどであった(本当か?)。

今思い出すと、そりゃもう笑っちゃうシーンばかりなのだけれど、当時はあれを夢中になってたんだからすごい。そんでもって最近スカパーで再放送していたのを観ていたオスカー氏から聞いた話が可笑しくって、これがもう、当時の大映が一発で良くわかるシーンであった。目の前でラグビーボールにナイフをきーっと入れちゃう川浜高校一の不良・水原に勉強を教えようとする山下真司は放課後、彼を教室に呼んでマンツーマンの授業を行おうと呼びかける。しかし水原は来ず、代わりに来たのはパっとしないデブっちょの内田。山下は喜んで「花」という字を教える。10個ほど「花」とノートに書いた内田は一言「・・・こうしていっぱい書くと、花束みたいだな。」山下「!・・・(目をキラキラさせて)100個書け!そして花園に行こう!」とか何とか言っちゃうらしいのである。

他にも伊藤かずえの登場シーンは神社で白馬に乗ってたこととか、山下真司の娘は間下このみだったとか、不良に殴られる寸前で突如入ったりするナレーションが最高だったとか、梅宮辰夫も岩崎良美マネージャーも無意味に死んじゃったこととか、イソップのデザインした"ライジング・サン"のマークとそれの入ったユニフォームだとか、次々と思い出してしまう(笑)。極め付けは松村雄基が登場するたびに歌っていた歌「風〜は1人〜で〜吹いて〜いる〜♪」っての(爆)。これが成り立っていた80年代。最も先端を行っていた、というより周りを気にせず突っ走っていった大映ドラの傑作たちを是非もう一度観たい! 

 

 


MOJO`s Silly talk <Vol.2>

ゾノ、覚えてますか。(注:森本レオ風にお読みくださひ)

かつて「ゾノる」(無精ひげをカッコよく生やす、というような意味(?))という言葉が存在したことを、皆さんは覚えているだろうか。かつて日本サッカー界で最も輝いていた男・前園真聖のことを覚えているだろうか。「イジメ、カッコ悪いよ」と言うCMにみんなが「オマエが、カッコ悪いよ」とツッコミ始めて早くも4年、世間はシドニー五輪で盛り上がっており、TVでは4年前のアトランタ五輪で日本がブラジルを破った試合を何度も映している。あのチームは紛れもなくキャプテン前園中心のチームであり、かの中田ですら一つのオプションでしかなかった。精神的な支柱であり、苦しい時にゴールを決める。まさに、日本のエース。そして限りなく近づいた、世界への扉――しかしその後、彼を待っていたのは、栄光ではなく、残酷なまでの挫折と下降線だった。一体何がそうさせたのだろうか。海外移籍失敗の精神的なショックか。数多いCM出演――カップラーメン"ラ王"では「行くか〜?ヒデ〜!」などと中田を先導する兄貴分を演じ、携帯のCMでは「前園さんの言う通り〜♪」なんつう歌まで流れ出し、挙げ句の果てに例の「イジメカッコ悪いよ」――あの頃の絶頂期の自分に酔ってしまったのか、はたまた遊び過ぎたのか。

横浜フリューゲルスからヴェルディ川崎に移籍した後の彼はゴール前の嗅覚とスピードを失い、凡庸なプレーを連発。そして中心だったA代表からも漏れ、気持ちだけが焦っていく。再起をかけたブラジルのチームへの移籍。しかし、そこでも輝きを取り戻すことなく帰国した彼は現在、何とJ2(Jリーグの格下の2部リーグ)に落ちた湘南ベルマーレでJ1復帰を目指し奮闘している(今季は絶望的)。キャプテン・背番号I。さらに背中にスポンサーである親友中田のHP"nakata‐net"と記名されたユニフォームを纏ったかつての日本のエースは、プライドを捨てて、舞台をJ2に落として尚、もがき続けている。

「かつての」と呼ばれるには若すぎる27歳。前園はどんな気持ちでシドニー五輪を見つめているのだろうか。そんな彼の絶頂期に発表された自伝『ドリブル』での(左写真参照)その自信と栄光に満ちた彼の姿はあまりに痛々しい。今や彼は、名実共に負け犬日本代表のエースとなってしまったことが如実に伝わってくる。(帯の「俺はマラドーナになりたい!」が既に痛々しい・・・)しかし、あのキレまくっていたドリブル、その反転の速さ、ゴール前に飛び出す嗅覚とフィニッシュ、局を打開するキラーパス・・・前園の記憶はあまりにも強烈だ。是非とも復活して、「あいつは終わった」とぼやくサッカーファンをゾノらせて・・・いや、黙らせてほしい。

 


MOJO`s Silly talk <Vol.1>

ガンダム夜話 「島ザク」と「ジオン独立愚連隊」

古いアニメーションにたまに見られることなのだが、制作上で次の展開が間に合わなくなって、とりあえず作られたような回が挿入されたりすることがある。やはり「ガンダム」にもそういうのがあり、本編には直接繋がっていかないものの、とても心に残るエピソードとなっている。第14話「時間よ止まれ」第15話「ククルス・ドアンの島」がそれに当たる。前者はジオン兵の独立愚連隊みたいな連中(笑)が主人公で、一発デカいことやったろーじゃん、とモビルスーツを使わずにガンダムに素手で爆弾をしかけ、ホワイトベースのクルーが爆弾を外せるかどうか遠くから観察し、見事外したアムロに対して「やるなーあいつ」と感心。、まるで全力を出しきって敗れた高校球児のごとく爽やかで満足そうななジオン兵たちは、自分達の爆弾を外したパイロットはどんなやつだろうと、地元の青年団を装って(バレバレ)ホワイトベースの前を車で通り過ぎてゆく。そのヤサグレ男たちの何とかっちょよいことか。こういうのはもう、女、子供には絶対わからない面白さだよなあ(女の人でわかる人いたら、ごみんに(笑))。アムロを一瞥して「そちら、ガンダムのパイロットさん?」などと確認するシーンなんか実に"粋"である(声はマ・クベだけど)。

後者はファンの間では「島ザク」と呼ばれている(本当か?)名編で、無人島で孤児3人と妻を守る元ジオン兵を描いたもの。救助信号を受けてコアファイターでやってきたアムロは、ジオン軍に対しても攻撃する、奇妙なザクを目の当たりにする。搭乗者は、かつて自らの手で子供たちの親を殺してしまったジオン兵・ククルス・ドアンで、改心し軍を脱走、戦争から子供たちを守り、平和な生活を築こうとしていたのだった。最初はジオン兵が子供たちを騙して手なずけていると思っていたアムロも、徐々にククルス・ドアンの考えを理解し、戦争の残酷さ、難しさを知っていく・・・というような話で、戦争中の民間人たちの哀しい運命を描いたエピソードが多い「ガンダム」の中でも指折りの出来といってよいものである。(しかし、ラストでザクを失ったドアンはあの後どうやって子供たちを守っていったのだろうか・・・(笑))。緊張感の続くシリーズには見られない、制作上の都合でやむなく生まれたこの2つのエピソードは、何とも心に残る名編となった。この「実はこんなエピソードもありました」的な読み切り短編のような出来具合は、もしかしたら、後のビデオシリーズ「0080」等のヒントにもなっているかもしれない、というのは考え過ぎだろうか。