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MOJO`s Silly talk <Vol.14> 2001年に観た映画ベスト20 1.不思議惑星キン・ザ・ザ 3.はなればなれに 4.GOD SPEED YOU! BLACK EMPEROR 5.片栗家の幸福 6.ゴーストワールド 7.火を噴く惑星 8.テルミン 9.忘れられぬ人々 10.『殺しの烙印』他清順レトロスペクティブ 11.焼け石に水 12.台風クラブ 13.フィツカラルド 14.回路 15.キングオブカルト石井輝男特集『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』 16.ふたりの人魚 17.ツィゴイネルワイゼン 18.ギャラクシー・クエスト 19.キングオブカルト石井輝男特集『徳川いれずみ師・責め地獄』 20.ザ・コンヴェント |
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MOJO`s Silly talk <Vol.13> 2002.1.13 Don't let it bring you down!(へこたれちゃだめだ) 『十九歳の地図』 ★★★ 昨日は一日遅れで『アブドラジャン』を体験した宣伝担当Tさんと下北ストーリーズで3時くらいまで飲み。ジョナサン・リッチマン万歳(謎)。ちなみにアブドラジャン最終日は先日にも増して立見状態だったそうな。素晴らしひ。 年明け初のジャズ喫茶マサコ。店員のモエさん、スズユキさんらと今年もよろしくーと会話を交わし、読書にふける。夕方レコードプレーヤーとカセットデッキをくれるというがるさんに会いに上北沢へ。お茶後、ガラガラとブツを引きずって帰宅。若松孝二の『鉛の墓標』を鑑賞。う〜ん、骨太。女優キレイ。1964年の作品ってこともあってまだお得意の”反権力”なテーマは見えないため、オーソドックスな殺し屋モノとして楽しめたぞ。 ちなみに本日、明大前の古本屋で座右の書である野坂昭如『エロ事師たち』の初版本をゲットした。スブや〜ん!これ、町田康好きの若者は必読だぞ。いや、別に若者じゃなくてもいいんだけどね。 |
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MOJO`s Silly talk <Vol.12> 2002.1.10 3度目の『UFO少年アブドラジャン』、泣ける鍋の秘密 『UFO少年アブドラジャン』 ★★★★★ 今日は仕事後に友人4人と渋谷ユーロスペースにて自身3度目の『UFO少年アブドラジャン』。 |
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MOJO`s Silly talk <Vol.11> 2002.1.9 遠くなってしまった左耳と2本のピンク映画の巻 『少女情婦』 ★★★☆ 何故か朝から左耳が難聴気味。過労によるストレスなのか電話かけ過ぎでクラッシュしたか老化なのかはわからんが、困ったものだ。合掌。チーン。 さて、本日は権利元さんから送られて来たピンク映画7本のうち2本を鑑賞。『少女情婦』は高橋伴明の1980年の作品。商業映画よりもピンク時代が評価されてる感のある監督だけに期待。傑作と言われている『襲られた女』『少女を襲う』などは観てないので何ともいえないが、評論家達が言う高橋氏特有の”激しさ”というものはあまり感じず、リリカルな佳作といった感じ。しかし最後の横断歩道での抱擁シーンがいいんです。すごく。大杉漣がバーテン役で登場。演技、変です。変。可笑しい。ちょび髭だし。 明日は友達を引き連れて3度目の『UFO少年アブドラジャン』。みんな鍋持ってユーロスペースに集合だ!(嘘) |
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MOJO`s Silly talk <Vol.10> 2002.1.8. 激努!ヤケクソのゾンビ極道の巻 『実録外伝・ゾンビ極道』 ★★☆ 昨日から仕事再開。案の定1週間以上も休んだツケがまわってきている。倒しても倒しても敵が出てくる感じだ。 いよいよピンク企画も宣伝開始。思い付きで言ったキャッチコピー、30分で書いた解説文が採用されてしまった。 合掌。 そんなこんなで眠い目をこすり観なければいけない山のようなビデオ類を交わして映画秘宝等で絶賛されてたVシネマ『ゾンビ極道』。監督は『発狂する唇』『血を吸う宇宙』などパッパラパーなホラーやSFでお馴染みの佐々木浩久。主演は『スクールウォーズ』の初代番長・水原役が今だに抜けてない小沢仁志。始まって10分くらいでゾンビ化。ぎこちない動きでゾンビぶりをアピールだ。で、この映画、とことん『仁義なき戦い』とか東映の実録路線を真似してて笑える。佐々木監督自ら風ナレーション、オマケに室田日出男とか出てるし・・・ていうか実録なのにゾンビかよ!(三村風に)いやね、最後に山下真司が出て来て目を覚ませー!水原ああああ!とか言ってくれたら今年のベスト1だったんだけどね(嘘)。まあ何せVシネだからね。こんなもんでしょ。あ、そうそうゾンビ化した水原・・・じゃなくて小沢仁志が墓下から復活するシーンはまんま『血ぬられた墓標』のパクりでやんした。ついでに骨をぽりぽり・・・って『仁義の墓場』じゃー!ぎゃははははーだ!・・・って暇じゃないんだよ俺は!アホか!うぎゃー!(以下略) |
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MOJO`s Silly talk <Vol.9> 2002.1.6. フーリガンはネオン街の夢を見るか? 『メメント』 ★★★ 昨日サッカー番組を観てたらイングランドの元極悪フーリガン(『ウォリアーズ』のリフスのメンバーみたいな屈強なお兄さん)にインタビューを決行していて、W杯時、日本の何処に集結する予定なのかという質問に対し、「東京シティ。そう、ネオンの街だ。今までに見たことのない光を見せてやるぜ!」などと答えていた。何とも頭は悪そうだが実に頼もしいコメントを残しちゃってて恐ろしい限り。 深夜のストーリーズを経て正月最後の休日。渋谷でストーリーズの現役バーテン・ヒロコさんとレコード漁り。その後に『メメント』を鑑賞。相変わらず大盛況で並ばされる始末。 というわけで明日は2002年度初仕事。波乱万丈。銀河万丈。インドにピンクに火星探検。 |
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MOJO`s Silly talk <Vol.8> 2002.1.1.〜1.4. まさかのスカパー&VHS 地獄のコンビネーション編 『呪いの館・血を吸う眼』 ★★ *CS/チャンネルNECO TVで天皇杯を観て実家へ帰省。何と時分の部屋に父親が導入したらしきスカパーが。しかも契約前の見放題期間。これで正月の運命は決まってしまった。サッカーに映画に朝から晩までモニターに釘付けであった。合掌。『血を吸う眼』『デスペラード』『アイズ・ワイド・シャット』”世界の短編映画集”などを鑑賞。岸田森の血を吸うシリーズは2個目だが、雰囲気は宜しいんだけどどうもこう、話がたるいんだよな。岸田森には文句ないし、女優さんもみんないいんだけどなあ。何でかあまり印象に残らない。 ちなみに一応家族と初詣に出向いたが、元旦に火事があったらしく門が封鎖されており裏から攻撃。その後仕事も兼ねてパルコ内のタワレコに。父親に頼まれた松山千春のベストを単独で買うのが恥ずかしかった為、『アメリ』のサントラを一緒に購入。 |
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Silly talk <Vol.7>
2001.12.30.〜12.31. 『アメリ』&年忘れスチャラカパーティーの巻 『アメリ』(渋谷シネマライズ) ★★★☆ 30日は久々にブンコ姉さんと会って『アメリ』を鑑賞。巷の人気の通りの出来映え。 明けて大晦日の夜はディスクユニオンのナイトバーゲンで友達と合流後、下北のバー”ストーリーズ”で常連組によるカウントダウン。何やら恒例になりつつあるこのパターン。去年程盛り上がらなかった気がするものの、蕎麦に餅に酒酒酒なオールナイトでぶっとばして明け方みんなでフラフラと神社へと初詣。 |
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Silly talk <Vol.6> 2001.12.26. 向こう見ずなピンク映画DVDシリーズ”NIPPON EROTICS”が始動。 ひょんなことから仕事でピンク映画と多いに向き合うこととなった昨年。”痴漢電車””団地妻”など配給会社に振り分けられたテーマが定まっていること、15分おきくらいに濡れ場を入れて、タイトルを劇場用にベタベタなエロタイトルにされるということ以外はほぼ自由。低予算ということもあり、殊更監督のセンスが露になるジャンルでもある。 |
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MOJO`s Silly talk <Vol.5> パラノイド・アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 中学生の時だったか、村上春樹の『ノルウェイの森』で提示された「あらゆる物事と距離を置くこと」というスタイルが偉くかっこよく見えたっけ。そしてその後、岡崎京子の漫画『リヴァース・エッジ』が登場する。死体を見ても何も感じない若者達が ”平坦な日常で生き延びる”様子を描き、突拍子もない殺人や死を日常化し、それは驚きと奇妙な共感を呼ぶ傑作として当時先鋭的だった若者達に迎え入れられた。しかしそこから僕が感じたのはあくまで”奇妙な共感”であり、その後僕らが無感情にな っていくかもしれない、というあくまで”可能性”だった。ところが時を経ていくご とに、この漫画は実にリアルになってゆく。岡崎京子が鳴らした警鐘、”無感情の可能性”は”現実的な共感”へと変わってしまう。子供達はTVゲームでヴァーチャルト リップ、病的な心理葛藤も記憶に新しい『エヴァンゲリオン』がオタクはおろか一般人まで巻き込む大ヒットを果たし、現実でも子供による殺人事件が多発、確実に病んでゆく時代。そんな時に岡崎京子がいなかったことは非常に残念であった。彼女がいれば、僕らの未来をまた予見してくれたであろうに。 さて、世紀末を越えて2001年。イギリスからとんでもないアルバムが届いた。『KID A』と名付けられたそのアルバムは言い様のない不安と奇妙な心地よさ、そして途方 もない疲労感に包まれていた。大傑作『OK COMPUTER』から4年。トム・ヨークが生み出したのはまるで臨死体験的な内省的な音であった。1曲目『Everything Right Place』のエレピによるイントロ、無機質な2曲目『KID A』の言い様のない不安と心地よさ。これはあまりにもリアルで、具体的な形をしていた。そして『How To Disappear Completely』。「あそこにいあるあれ、あれは僕じゃない。」「僕はここにいない」と歌われるあまりに美しい曲。それは自己の存在理由どころか、存在そのものの否定である。生きてるんだか死んでるんだかわからない究極の無気力感。ラスト、赤ワインと睡眠薬で自殺を計ろうとする男の歌『Motion Picture Spundtrack』 アルバム中唯一といっていいヒューマンなパイプオルガンの調べがそれまでの緊張感 をときほぐし、言い様もない安堵感を迎える。それは涙すら流れるほどの、まるで映 画『ソイレント・グリーン』みたいな歌。 僕らゆるやかに死んでゆく〜って歌ってたのはフリッパーズ・ギターだっけか。ま、 とにかく死のうが死ぬまいが、いろいろ諦めちゃった方が人生楽だと、アホでも気付く時代になっているわけで。可能性はごろごろしてるけど、ふんばるのがしんどくって。少なくとも『リヴァース・エッジ』が流行った時はみんなどうやって生きるか、 焦ってちゃんと模索したんだろうけど。今はみんなそれもしなくなって、みんなどんどん幽霊みたいな存在になってゆくのかもしれない。こわいですねー。こわいですね ー。そこまでして生きてて楽しいんでしょうかね。もしかしたら死ぬのすら面倒臭くなったりしてたりして。というわけで?何でか手塚治虫の傑作『火の鳥』でロビタというロボットが集団自殺するシーンを思い出す今日この頃です。合掌。 <ナヲイ> |
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MOJO`s Silly talk <Vol.4>
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熱血通訳ダバディの青春
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コンナンジャ3ー0デマケルヨォ!オマエラヤルキ見セロヨゥ!サッカー日本代表のトルシエ監督の言葉、そして心情をダイレクトに通訳する熱い男フローラン・ダバデ ィ氏。全身全霊で通訳し続ける彼はあまりに燃え過ぎてトルシエとサッカー協会のトラブルの火種を作っているという噂もあるほど。 そんな彼の素顔は映画雑誌プレミア の編集者。 そして父親が脚本家で幼少の頃から高名な俳優たちに囲まれて育った彼は、 トルシエのインタビューで 常にカメラフレームの中にちゃっかりと収まるショービズ世界の申し子だ。そしてなんといってもあのシドニー・オリンピックでのアメリカ戦での彼は素晴らしかった 。 PK戦で肩を組んで見守る選手達のど真ん中に陣取って一番声出してたのはまぎれも ないダバディ。そしてインタビューで飄々と敗戦を分析するトルシエの通訳中、「ヤッパリネーヤッパ・・・ウゥっ・・・ゴメンナサイ!」っと嗚咽して言葉を詰まらせ たダバディ。先日も語るトルシエの裏をすーっと通り過ぎたのはFW高原と肩を組んで ゲキを飛ばす彼だった。 果してどこまでが演技でどこまでが本気なんだろうか?実は 彼の演技に僕らが踊らされているだけなのではないのか?「トルシエ自身になりきる 」をモットーとする彼の過剰で熱いパフォーマンスはいつしか通訳の枠を越えて本当 に監督になってそうなほどの勢いである。しかし、そんな憶測をよそに、無気力な時代に喝を入れるがごとく今日も吠えるダバディ。オマエラカチタクナイノカヨゥ!! ヤルキノナイヤツハ帰レヨウ!『スクール・ウォーズ』の山下真治も顔負けの熱血通訳の彼が日本を席巻する日は近い?そして、某負け犬Jリーガー、 前園にも喝を入れてやって欲しいところだ(謎)。
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MOJO`s Silly talk <Vol.3> 栃木の片田舎と「スクール・ウォーズ」 |
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僕が小学生の頃、学校から帰って5時からのTBSのドラマの再放送を見るのが楽しみだった。中でも『スクールウォーズ』のミニブームは栃木の片田舎を席巻し、不良たちはみんな松村雄基になろうとし、懸垂ができない、もしくわ病弱な子供はみんなイソップと呼ばれ、伊藤かずえ似の女の子はモテモテで、花園ラグビー場は甲子園と同等の扱いとなり、みんな和田アキコと梅宮辰夫は夫婦だと信じ込んでいたほどであった(本当か?)。 今思い出すと、そりゃもう笑っちゃうシーンばかりなのだけれど、当時はあれを夢中になってたんだからすごい。そんでもって最近スカパーで再放送していたのを観ていたオスカー氏から聞いた話が可笑しくって、これがもう、当時の大映が一発で良くわかるシーンであった。目の前でラグビーボールにナイフをきーっと入れちゃう川浜高校一の不良・水原に勉強を教えようとする山下真司は放課後、彼を教室に呼んでマンツーマンの授業を行おうと呼びかける。しかし水原は来ず、代わりに来たのはパっとしないデブっちょの内田。山下は喜んで「花」という字を教える。10個ほど「花」とノートに書いた内田は一言「・・・こうしていっぱい書くと、花束みたいだな。」山下「!・・・(目をキラキラさせて)100個書け!そして花園に行こう!」とか何とか言っちゃうらしいのである。 他にも伊藤かずえの登場シーンは神社で白馬に乗ってたこととか、山下真司の娘は間下このみだったとか、不良に殴られる寸前で突如入ったりするナレーションが最高だったとか、梅宮辰夫も岩崎良美マネージャーも無意味に死んじゃったこととか、イソップのデザインした"ライジング・サン"のマークとそれの入ったユニフォームだとか、次々と思い出してしまう(笑)。極め付けは松村雄基が登場するたびに歌っていた歌「風〜は1人〜で〜吹いて〜いる〜♪」っての(爆)。これが成り立っていた80年代。最も先端を行っていた、というより周りを気にせず突っ走っていった大映ドラの傑作たちを是非もう一度観たい!
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ゾノ、覚えてますか。(注:森本レオ風にお読みくださひ) |
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かつて「ゾノる」(無精ひげをカッコよく生やす、というような意味(?))という言葉が存在したことを、皆さんは覚えているだろうか。かつて日本サッカー界で最も輝いていた男・前園真聖のことを覚えているだろうか。「イジメ、カッコ悪いよ」と言うCMにみんなが「オマエが、カッコ悪いよ」とツッコミ始めて早くも4年、世間はシドニー五輪で盛り上がっており、TVでは4年前のアトランタ五輪で日本がブラジルを破った試合を何度も映している。あのチームは紛れもなくキャプテン前園中心のチームであり、かの中田ですら一つのオプションでしかなかった。精神的な支柱であり、苦しい時にゴールを決める。まさに、日本のエース。そして限りなく近づいた、世界への扉――しかしその後、彼を待っていたのは、栄光ではなく、残酷なまでの挫折と下降線だった。一体何がそうさせたのだろうか。海外移籍失敗の精神的なショックか。数多いCM出演――カップラーメン"ラ王"では「行くか〜?ヒデ〜!」などと中田を先導する兄貴分を演じ、携帯のCMでは「前園さんの言う通り〜♪」なんつう歌まで流れ出し、挙げ句の果てに例の「イジメカッコ悪いよ」――あの頃の絶頂期の自分に酔ってしまったのか、はたまた遊び過ぎたのか。 横浜フリューゲルスからヴェルディ川崎に移籍した後の彼はゴール前の嗅覚とスピードを失い、凡庸なプレーを連発。そして中心だったA代表からも漏れ、気持ちだけが焦っていく。再起をかけたブラジルのチームへの移籍。しかし、そこでも輝きを取り戻すことなく帰国した彼は現在、何とJ2(Jリーグの格下の2部リーグ)に落ちた湘南ベルマーレでJ1復帰を目指し奮闘している(今季は絶望的)。キャプテン・背番号I。さらに背中にスポンサーである親友中田のHP"nakata‐net"と記名されたユニフォームを纏ったかつての日本のエースは、プライドを捨てて、舞台をJ2に落として尚、もがき続けている。 「かつての」と呼ばれるには若すぎる27歳。前園はどんな気持ちでシドニー五輪を見つめているのだろうか。そんな彼の絶頂期に発表された自伝『ドリブル』での(左写真参照)その自信と栄光に満ちた彼の姿はあまりに痛々しい。今や彼は、名実共に負け犬日本代表のエースとなってしまったことが如実に伝わってくる。(帯の「俺はマラドーナになりたい!」が既に痛々しい・・・)しかし、あのキレまくっていたドリブル、その反転の速さ、ゴール前に飛び出す嗅覚とフィニッシュ、局を打開するキラーパス・・・前園の記憶はあまりにも強烈だ。是非とも復活して、「あいつは終わった」とぼやくサッカーファンをゾノらせて・・・いや、黙らせてほしい。
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ガンダム夜話 「島ザク」と「ジオン独立愚連隊」 |
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古いアニメーションにたまに見られることなのだが、制作上で次の展開が間に合わなくなって、とりあえず作られたような回が挿入されたりすることがある。やはり「ガンダム」にもそういうのがあり、本編には直接繋がっていかないものの、とても心に残るエピソードとなっている。第14話「時間よ止まれ」と第15話「ククルス・ドアンの島」がそれに当たる。前者はジオン兵の独立愚連隊みたいな連中(笑)が主人公で、一発デカいことやったろーじゃん、とモビルスーツを使わずにガンダムに素手で爆弾をしかけ、ホワイトベースのクルーが爆弾を外せるかどうか遠くから観察し、見事外したアムロに対して「やるなーあいつ」と感心。、まるで全力を出しきって敗れた高校球児のごとく爽やかで満足そうななジオン兵たちは、自分達の爆弾を外したパイロットはどんなやつだろうと、地元の青年団を装って(バレバレ)ホワイトベースの前を車で通り過ぎてゆく。そのヤサグレ男たちの何とかっちょよいことか。こういうのはもう、女、子供には絶対わからない面白さだよなあ(女の人でわかる人いたら、ごみんに(笑))。アムロを一瞥して「そちら、ガンダムのパイロットさん?」などと確認するシーンなんか実に"粋"である(声はマ・クベだけど)。 後者はファンの間では「島ザク」と呼ばれている(本当か?)名編で、無人島で孤児3人と妻を守る元ジオン兵を描いたもの。救助信号を受けてコアファイターでやってきたアムロは、ジオン軍に対しても攻撃する、奇妙なザクを目の当たりにする。搭乗者は、かつて自らの手で子供たちの親を殺してしまったジオン兵・ククルス・ドアンで、改心し軍を脱走、戦争から子供たちを守り、平和な生活を築こうとしていたのだった。最初はジオン兵が子供たちを騙して手なずけていると思っていたアムロも、徐々にククルス・ドアンの考えを理解し、戦争の残酷さ、難しさを知っていく・・・というような話で、戦争中の民間人たちの哀しい運命を描いたエピソードが多い「ガンダム」の中でも指折りの出来といってよいものである。(しかし、ラストでザクを失ったドアンはあの後どうやって子供たちを守っていったのだろうか・・・(笑))。緊張感の続くシリーズには見られない、制作上の都合でやむなく生まれたこの2つのエピソードは、何とも心に残る名編となった。この「実はこんなエピソードもありました」的な読み切り短編のような出来具合は、もしかしたら、後のビデオシリーズ「0080」等のヒントにもなっているかもしれない、というのは考え過ぎだろうか。 |
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